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逆さの砂時計
再会
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で拒絶し続けたというのに」

 視界が確かな輪郭を取り戻す。
 レゾネクトの紫色の目が妖しく光る。
 その向こうにあるのは、深淵の闇。
 何も見えない真っ黒な世界。

 ……ああ……。
 私は()()囚われたのか。
 今となってはレゾネクトと私しか居ない、この閉ざされた空間に。
 あの子を導く役目も果たせないままで。

「もう、やめて、レゾネクト……。こんなことを続けても無意味だわ……。貴方の願いは、決して、叶わないのよ……」

 レゾネクトの表情がわずかに硬くなる。
 だが、それもすぐに歪んだ微笑みで消された。

「再会して早々に説得のつもりか? 初めて会った頃を思い出すな。お前は愚かなままの意識らしい」
「……っ」

 下腹部に違和感。
 彼と繋がっている場所から、粘度が高く卑猥な水音が聴こえる。
 息苦しさの理由はこれかと、どこか他人事のように受け流した。

 『結晶』に姿を変える前は、何度もくり返し強要された行為だ。
 甘んじて受け入れるつもりは毛頭ないが。
 涙を流しながら喉を痛めて拒むだけの嫌悪も恐怖も残ってない。

「……それとも……アリアを護りたいからか」

 全身が強ばった。
 さっと青褪めた私の顔を見て、レゾネクトの唇に酷薄な笑みが浮かぶ。

「心配する必要はない。彼女が今どうしているか、見せてやろうか」
「ん……っ」

 また、唇を塞がれる。
 今度は支配の為ではなく、彼と意識を繋ぐ為の口付け。

 頭の中に、真昼の陽光が降り注ぐ広大な草原が映し出された。
 少し強めの風が吹き抜けては、絶え間なく揺れる緑色の絨毯の上。
 私と同じ白金色の長い髪が……濡れてる?
 純白の法衣ごと、全身に大量の水を浴びたような姿で。
 ぴくりとも動かない誰かを抱きしめている。
 誰か……あの黒い髪の彼は、アリアの力が護っていた人?
 『結晶(カギ)』である私を所持してくれていた人だ。
 だけど、アリアの腕の中の彼は。

「あと少しだ」

 レゾネクトの目が遠くを見つめる。
 この空間ではない、元居た世界でもない、遥か遠くを。

「あと少しで、アリアは世界を手に入れる。俺との契約も果たされる」

 契約?
 アリアとレゾネクトが、契約を交わしてる?

「……何を、する、つもりなの? アリアを、どうしようとしているの!?」

 嫌な予感がする。
 接触があっただけでも恐ろしいというのに。
 アリアは、この闇に、何を願ってしまった!?

「お前は、ただ見守っていれば良い。俺が見せてやろう。お前が無意味だと言った、この行動の結果を」
「レゾ……ッ う くっ……」

 ゆるゆると続いていた内側をこする動きが、いきなり乱暴
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