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逆さの砂時計
再会
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うが!」

 この際だ、全部訊き出してやる!
 と、詰め寄ろうとして。
 だが、足裏が地面に縫い付けられたように剥がれない。

「実はその件でベゼドラさんにお話があるのです。ひとまず冷静に対応していただく為、失礼を承知で、貴方の行動を制限させてもらいました」

 行動を制限? どういう意味だ?
 そう重ねて訊こうとする俺を止めたのは、

「伝言も『結晶』も私が……正確には私の片割れがお願いしたの。貴方達がアリアの力に護られているから」

「!? お前っ……!」

 フィレスの隣に突然現れた、人間年齢なら五歳前後の小さな子供。
 耳を隠す長さの白金色の髪に、薄い水色の虹彩を持つ女。
 俺が知ってる背格好とはずいぶん違うが。
 遠目には、何度か顔を見合わせてた相手。

「うそ……」

 信じがたいものを見て愕然とするリースリンデに。
 女は笑みを浮かべた。
 子供らしからぬ穏やかさと、成熟した女特有の色香が混じる笑みを。



 生温い闇の中、自分の存在が溶けていくような、分解されていくような、名状しがたい感覚がした。
 次いで襲ってきたのは、自らの(せわ)しない鼓動。
 あまりに速く激しく脈打つせいで、息が詰まりそうになる。

「……っは、っ……あ……?」
「おはよう。それとも、久しぶり、かな」

 全身に汗が(にじ)んでる。

 …………『鼓動』?
 『汗』? 『体』?
 この()()、体がある?

「まだはっきりしないか……それも仕方ないな。その意識では数千年ぶりの実体だ」
「……レ ゾ…… ネク、ト……?」

 焦点が合わない視線を、よく知っている声が聞こえてくるほうへ向ける。
 自分の物ではないサラサラとした長い髪が、私の頬をくすぐった。

 私は今、どういう状態なのか。
 思考に掛かっていたもやが、少しずつ晴れていく。

 背中は柔らかなシーツに包まれている。
 後頭部を支えているのは、差し入れられた冷たい手。
 太股や胸先が露出するほど(はだ)けたローブ。
 目の前に居るのは、アルフリード達を殺して私の翼を引き千切った魔王、レゾネクト。

「……懐かしい。お前の声を聴くのも何千年ぶりか?」
「んっ……、ぅ」

 私の唇をねっとりと這うレゾネクトの舌が。
 後頭部を軽く持ち上げられた拍子に開いた隙間から口内へ侵入ってきた。
 柔らかな部分も硬い部分も余すところなく蹂躙(じゅうりん)され。
 溢れ出る吐息と唾液が顎を濡らしていく。
 絡めるように吸い出された舌がしつこく舐られる。
 苦しい。

「は……。意識の違いでここまで反応が変わるのも面白いな。俺への怒りと憎しみで生きていたお前は、壊れる寸前ま
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