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逆さの砂時計
再会
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掛かるかどうかの短い金髪に。
 星明かりを連想させる金色の目が、夕暮れを思わせる紫色に。
 白いコートは黒く染められ、体の線に沿った上下服へと形を変える。

 その容姿がはっきりと固定された瞬間。
 旋律は叫びに変わり。

「『邪心ある者、何人(なんぴと)も泉を侵すこと(あた)わず! 以後、一切の接近を認めぬものと知れ! 聖なる力に満ちた大地よ大気よ湧水よ、弾け弾け弾け!!』」

 純白の翼を大きく開いた何者かが。
 男の背後から、銀色に鋭く光る剣を振り下ろした。
 右肩から斜めに斬られる筈だった男の体は、既に消えて。
 剣は虚しく空を裂く。

「残念。今回は時間切れのようだ。また遊んでやろう。生きていたらな」
「レゾネクト!!」

 鼻につく声だけを残して、レゾネクトの気配が完全に消えた。

 くそっ!
 クロスツェルの器だけでも回収しとかなきゃならんっつーのに!

「ああ……、喉が痛い……」

 現れた何者かが、その背中に生えてる翼をぱたりと羽ばたかせ。
 泉の手前、本物のクロスツェルが膝を突いてた場所に降り立った。
 喉元に左手を当てて、んん〜っ! などと、のんきに調子を整える。

 …………なんか、どっかで見た覚えがある女だな。

 いや、待て。
 翼?
 純白の翼、だと?

「どうもお久しぶりです、ベゼドラさん」

 剣身を腰に下げてる鞘に戻しながら、女は何故か俺に向かって一礼した。

「……女、神……さま?」

 リースリンデが、女の背に白く光る翼を見て頬を紅潮させる。
 確かに、どう見ても翼だな。翔んでたし。

「はあ。自分ではまだよく解ってないし実感もあまりないのですが、どうもそういう話みたいですね。あ、この辺りには結界を張っておきましたので、レゾネクトは二度と現れませんよ。少なくとも、泉が見える範囲内には」

 腰までまっすぐ伸びる白銀色の髪を後頭部で一つに束ねた蒼い目の女は。
 一筋垂らした横髪を耳に掛け。
 足元に落ちてる黒い本を拾った。

「クロスツェルさんは間に合いませんでしたか。困りましたね……アリアに対する切り札を、半分以上レゾネクトに奪われたようなものだ。できれば、『結晶』も回収したかったんですが」

 『結晶』。薄い水色の宝石。

 …………そうか。
 確か、フィレスとかいう女だ。
 山奥の廃墟へ向かうきっかけになった……

「……ってぇ! やっぱり、あの場で訊いとくべきだったんじゃねぇか! クロスツェルの野郎!」
「はい?」
「アンタ、アリアを助けてとかいう伝言は誰から受け取ったんだ! 俺達に宝石を渡せっつったのは!? そもそも、その翼はなんだ!? あの時アンタはどっからどう見ても普通の人間だっただろ
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