兄弟の章
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ージの返答に、周囲から拍手が沸き起こった。だが、当のジョージはため息混じりである。
その後、ジョージは男爵家の楽団構成を聞き出し、こう付け加えた。
「では、月に一度の演奏には新作を書いて演奏致します。これで楽師長の位にも傷が付くことはないと存知ますゆえ。」
この言葉は男爵の嬉しい誤算であった。作曲が出来るとは考えていなかったのだ。
何とも後先考えぬ人物である。
「うむ、それは良い考えだ。晴れた春の日和りには、この店のテラスで演奏させるとしよう。」
男爵は満面の笑みでそう言ったが、しかし…この男爵の言葉が実現することはなかった。
それは少し先に語るとしよう。
こうして二日後には、正式にジョージは男爵家の楽師長の職を賜り、プロとして認められるようになった。前代未聞の出来事として、街中を騒がせたと言う。
この際、ジョージは男爵とサンドランドの好意で演奏会を開き、思う存分その力量を街の人々に披露したのであった。
弱冠十六歳の、天才楽師の誕生である。
時は王暦三百四年三月三日のことであった。
― ケイン、やっとお前の病を治してやれる…! ―
しかし…その思いは冬の粉雪のように、淡く儚ないものであったのである。
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