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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十話 冷たい雨
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って取った集合写真や、ダイシーカフェでの今の仲間メンバー全員の集合写真、SAOの中で取ったものを、涼人に何とか復元してもらった森の家の前の写真や、明日奈に強引に取られた(今となっては取ってもらったといったところだが)涼人とのツーショットもある。
そんな中に二枚だけ、涼人も詩乃も、和人も明日奈も写っていない写真がある。一枚は美幸が高校時代、もう一枚は中学時代のものだ。

「…………」
この写真には、二つの共通した意味がある。
一つは、これらがどちらも、美幸が所属していた部活のメンバーの集合写真であること。そして一つは……これらの写真に写っているメンバーに、必ず故人がいる。つまり……美幸にとっては、遺影に近い意味を持つことだ。

「……大、丈夫……」
再び、胸が締め付けられるような痛みが走り、美幸は胸を押さえた。

────

「ねぇ、本当によかったの?」
「あぁ?」
車が走り出して二十分ほどが過ぎたとき、不意に美幸がそんな事を聞いた。運転のため視線をそらすことなく、涼人が聞き返すと、明日奈がやや身を乗り出す。

「サチのこと!いきなり過呼吸になったり、やっぱりちょっとおかしいし、リョウだけでもそばに付いてたほうがよかったんじゃ……」
「おいおい、今更いう事かよそれ」
「それは……」
もう世田谷だぞ。と苦笑する涼人に、明日奈は自分でもその通りだと思っているのか口ごもる。それでもどこか気になる表情をする彼女に、涼人はどこか呆れたようににため息をついた。

「あのなぁ、俺はあいつの親でも兄弟でもねぇんだ。本人が大丈夫っつってんのに、いつまでもあいつの家に居座るわけにゃいかねーだろうが」
「でも、リョウはサチの……」
「付き合いが長いからって、何でもかんでも踏み込んで良いわけじゃねぇんだよ」
幼馴染でしょう?と言おうとして、遮るように先回りされてしまった。こちらの言いたいことはお見通しというわけだ。
しかしそんなことが先読みできるなら幼馴染の気持ちにきっちり気が付いてくれてもいいのにと思いながら、どう返すべきかと思案して、しかしそこにさらに涼人が続けた。

「ところでお前、あの嬢ちゃんとのこと、どうすんだ」
「えっ?あ、ユウキのこと?」
「おう」
ハンドルを回しながら真顔で聞いてくる涼人の雰囲気から、彼の質問が至極真面目なものであることを察した。

「とりあえず、キリト君に例の機械のこととか相談してみて、なるべく早く現実世界の景色を、ユウキが見れるようにしてあげようと思ってる」
「ふぅん?で、学校に連れてくんだっけか……」
「うんっ!他にも行きたい場所とか、やりたいこととか、できる限り協力してあげようと思ってる」
「協力、ね……」
どこか淡白な調子で呟くように返された言葉が、明日奈にはややとげのよ
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