第3章 リーザス陥落
第40話 神威
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底打ちはサテラの顔面に迫ってきた。
避ける事が出来ない。それは頭の何処かで判ってしまっていた。そして、最後の瞬間、後、本の一寸の距離に掌底が迫った時、サテラは思わず目を閉じた。
その瞬間にそれは来る。
サテラの耳に届くのは轟音。まるで空気が破裂したかのような、轟音が聞こえてきた。だが、自身の身体は何とも無い。
「ッ……な、に……?」
目を開けると目の前にはあの男がいた。
そして、その掌底打ちはサテラを打ち抜く事は無く、頬の直ぐ隣の空間を貫いていた。その凄まじい衝撃の後が空間上に軌跡を残している。あれを受けてしまえば、自分の身体など 粉々になり何も残らないと瞬時に理解出来た。無敵結界も、まるで意味を成さないだろう事も。
『まだ、やるつもりか? 寛容な我でも2度までだ。……3度目は……無い』
「っ……」
サテラは戦慄した。
確かに自分より強い魔人は何人もいる。だけど……魔人同士の戦いでも、ここまでの力の差を感じた事は無い。単純に力の差と言い表して言いのだろうか? 根本的な何かが違うと感じた。
例えシーザー達を何100体生み出したとしても、まるで 紙を破るかの様に……。虫を蹴散らす様に、やられてしまうとイメージが頭の中に過ぎっていた。
男は、再びサテラをシーザー達の方へと投げ飛ばす。
『……此処から去れ』
「ッ……」
「化物……」
シーザー達も言いようの無い何かを感じた様だ。サテラは、身体を震わせながら……。
「にげ……逃げるぞ。シーザー……イシス……は、はやく……っ」
「ハイ……」
「ッ……」
そう言うと、サテラ達は光に包まれた。
そして、光が消えたと同時にその身体も消え去ったのだった。
辺りには静けさが戻る。
この時は、まさに天災でも起こったかの様な轟音と気配が立ち込められていたからか、獣は勿論、魔獣、男の子モンスター。……全ての生物がこの場から逃げ去ったかの様に静寂に包まれていた。
風でさえ、吹くのを躊躇っているかの様だ。
『……ふむ。おい、聞こえているか?』
そこには誰もいない。だが、男は誰かに語りかけるように小さく声を出していた。
「(……ああ、聞こえている)」
その声、返答は頭の中に、響いてくる。そう、彼は今は、《自分の中にいる男》と話をしているのだ。
『以前、我を呼び。そして、どうなったか……よもや忘れた訳ではあるまい?』
「(ああ……覚えている。年齢が年齢だったが、確かにな。だけど あの時も今日も、オレは後悔は1つも無い)」
『だろうな。……だが、今回の1件で我を呼ぶ事はもう出来ないと心得よ。主の身体がもたぬ可能性が極めて高い。……そして魔人はあの子娘1
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