第3章 リーザス陥落
第40話 神威
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そう一言 言って涙を拭い……離れていった.
シィル自身も、かなみから聞いたあの魔人という言葉。人間が魔人に勝てるなんて聞いた事が無い。それはきっとユーリだって同じだと思ってしまっていた。だからこそ……ユーリの事が心配だった。
心底安堵感に包まれていたけれど、やっぱりランスの命令は絶対である。
……かなみと2人にしてあげたかったと言う意味もあるだろうけれど。
「やれやれ……また下僕って、いつオレはアイツの下僕を卒業できるんだよ。まあ そもそもなった覚えはないが」
ユーリは苦笑いをしていたが、あれはランスなりに、ランスなりに心配をしてくれてたんだろう事は判った。逆にはっきりと口で言われた方が少し気味が悪いとも思える。
「……かなみ」
ユーリは、今だ震えている彼女の肩を優しくつかむ。
「心配かけたな。大丈夫だ。まだまだ オレにはしなきゃならない事が沢山あるんだ。死ねないよ」
「う、ううっ……よ、よがっだ……よがっだでず……」
かなみは、必至に言葉を搾り出せていた。
……死がこんなにも怖いものなのだという事を改めて実感した瞬間だった。自分のじゃなく、他人の死が……。かなみは、ユーリの身体にしがみ付き、暫く嗚咽を漏らしていた。
かなみが落ち着きを取り戻す事が出来たのは、それから数十分後の事だった。
勿論その間、その場から動ける訳も無く、ユーリはずっと彼女の傍にいた。……当然だが、遠くで待たされていた(頼んだわけではないが)ランスは不機嫌であり、普段の2,3倍増しの毒舌も待っていたのだった。
「あーあ、全く、どっかの泣き虫へっぽこのせいで、ノアさんを病院に連れて行くのが遅れたではないか」
「あーもうっ!! 何度も何度もねちっこく言わないでよランスっ!」
「ら、ランス様、かなみさんも落ち着いて……」
「なんか、コメントしづらいな……、原因は俺にあるから」
一時アイスの町の病院へ2人を連れて行こうと帰っている途中の事だ。
ランスの毒舌と言うかいびりと言うか……兎も角、まだまだ続いていて、かなみもムキになって言い返していると言う状況だった。ユーリはユーリで、いつもならぼやいていそうだが、今回ばかりは発端が自分の事だから、言うにいえない状態。……状況を考えたら仕方が無いと思えるのだが、ランスには通じないのだから。
「それにしても、ユーリさん よくご無事でしたね。あの人たちはどうしたのですか?」
「ん?」
シィルがユーリにそう聞く。
あの女が魔人であるのなら、ただで済みそうには無いと思えるのだが、ユーリは見つけた当初こそ倒れていた、だが その後は問題なさそうに振舞っている。あの後、シィルもヒーリングをかけたが 必要が無かったかも
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