第3章 リーザス陥落
第40話 神威
[4/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いた。
「そんなっ! ユーリさぁぁんっっ!!」
かなみは大声で泣いていた。
外に出て、誰かが倒れているのは直ぐにわかった。
傍に近づけば近づく程、信じたくない人だと言う事がわかってきた。認めたくなかったんだ。でも、その姿を見たら……、
ユーリは、上半身の防具がまるで紙の様に破かれた状態でそこに倒れていた。まるで眠っている様に……倒れていたんだ。息はしてなかった。
「うっ、ううっ……そ、そんなのや……だ……っ やだっ ユーリさんっ……」
ユーリに縋りつき、涙を流し続けるかなみ。
「わ、わたし、わたし、きっとあなたに、……ユ……ーリさんに、いおう……いおうって、ずっと思ってたのに……ど、どうしてっ…… どうしてこんなっ……」
ユーリの胸元に顔を埋めて……涙を流し続けるかなみ。
ランスも流石に、今の状態でかなみに何かを言う事など出来ず、黙って見ていた。シィルも、……ただただ涙を流し続けていた。
その時だった。
「……何をオレに伝えたかったんだ?」
声が、訊こえたんだ。
「えっ……?」
何も聞こえない、周りも見えていない状態だったかなみだが、突如、声が聞こえてきた。まるで、頭の中に、心の中に響いてきたかのように。
「ふぅ………」
ユーリは、上半身をゆっくりと起こした。それはまるで何事も無かったかのように。さっきまで、息をしていなかったのに、ちゃんと息をしていた。
「なんだ、生きてたのか。お前はそんなんばっかだな。何だ? それ、狙ってんのか? 男らしくないヤツ」
「んな訳あるか……。相手が相手だったんだぞ? ふぅ……あぁ、疲れた。それに勝手に殺すなよ。かなみ」
腕を軽く振ると、ユーリは 傍にいた かなみにそう言っていた。
かなみは、まだ状況が飲み込めず、信じられない様なものを見ているかのようだった。
「全く人騒がせな。忍者の癖に。わんわんの様に泣くんじゃない。だからへっぽこなのだお前は」
「……うっ ううっ」
かなみは、ランスに『うるさい』と言いたい様だが、口が回らないようだ。
ただただ、両手で必至に涙を拭っていた。
「でも、心配をかけて悪かったな。かなみ、それに皆も」
「良かったです……ユーリさん……」
「ふん、誰が心配なんぞするか! 金ズル、下僕がいなくなれば、オレ様の負担が増えると思ってただけだ」
ランスはそう言うと、シィルの頭を軽くこついだ。
「いつまでグズグズとベソをかいておるのだ! さっさと行くぞ!」
「は、はいっ……ランス様……」
シィルはそう言うと、ユーリの方を見て。
「良かった、良かったです……ユーリさん、ご無事で……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ