第3章 リーザス陥落
第40話 神威
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ユーリの物言いに明らかに不快感をあらわにしたサテラが一歩前に出た。
「どうなるか判らない? ふん、人間の癖に、サテラに勝てると思ってるのか?」
鞭を撓らせ、地面に打ちつけながら接近する。
一発振るうたびに空気が弾け、破裂音をあたりに木霊させている。その音を聞くだけで威力がかなり高いのはわかる。
だが、ユーリはゆっくりとした動きでサテラに近づいていく。
先程までの雰囲気ではない。……どこか、おかしい。
「サテラサマ。我々モ!」
シーザーは、何かを感じ取ったのか、命令をされているのにも関わらず、サテラに意見を言っていたのだ。サテラはその事にやや驚いたが、直ぐに首を振った。
「バカ言うなよシーザー。サテラ1人で十分だ! そこで見てろ」
サテラは、そう檄を飛ばしていた。
人間だと、下に見ているのならそこまで大きな声を出さないだろう。だが、サテラは本能的に何かを察していたようだ。そう、シーザーやイシスと同じように。
「皆がいない状況なのが良かった。……正真正銘、オレの最終手段。……アイツらもどうなるか判らないからな」
ユーリは2本の剣を離した。
それは、鞘に収めた、などではなく完全に放棄。……敵を眼前に武器を放棄したのだ。
サテラは目を丸くさせていた。だが、直ぐに激昂する。
「お前……さっきからサテラを舐めすぎだ!!」
サテラは、一気に弾けるように飛び出した。
ユーリとの距離を一瞬で縮める。鞭を振るうその狙いは、ユーリの首筋。肉を裂き骨を粉砕するその一撃は、確実にこの男を絶命させる。
だが、思いがけない事が起こった。その瞬間、世界が光に包まれたのだ。
〜リスの洞窟入口〜
「ランス様ぁ……あの、今はノアさんもいるので、あまり触らないでくれませんか……?」
「がはは、ここの入口は狭いのだ! 仕方が無いではないか!」
「ひんひん……」
あの狭い入口の前で、シィルがランスにそう言うが、ランスはきっと聞き入れてくれないだろう。
あの後、ランス達は、直ぐに引き返していた。
ラークとノアの2人が負傷しているし、何よりも……。
「ユーリさん……」
ユーリが戦線離脱をしていると言う自体。普段ならば、問題ないだろう。
彼の実力はここにいる全員が知っているのだから。
ランスでさえ、女が絡んでいなければ、問題視は絶対にしないのだが、今回は相手が魔人かもしれないと言う事実もある。……奥にローラと言う女性が待っている? のに、引き返すと言う道を選んだほどだった。
「馬鹿者」
落ち込んでいるかなみの頭にゲンコツをひとつ落とした。
「ッ!!な、何するのよっ
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