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White Clover
放浪剣士
真実の後に
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「随分と早いのね。私はまだ寝ていたかったのだけれど?」

私がこうする事を知っていたのか。
しかし、何故私を引き留めるというのか。

あんなに鬱陶しく思っていたではないか。

私は、君の大事な人を殺めたではないか。

「全てを知った上で…あなたは許せない」

つかつかと、彼女は歩みより私に言う。

「でも、私には殺す権利がないから…死になさい」

自ら死ねということか?

だが、それを彼女が望むのならば…。

私が剣に手をかけると、彼女はそれを押さえた。

「勘違いしないで。私の為に働いて死になさい。…罪を償う気があるのなら、私の為に生きて、私の為に死になさい」

私に、異端審問官を辞めろというのか―――。

その言葉に、彼女は悪戯に笑う。

「あなたはもう、彼を手にかけたその日から異端審問官じゃなかったんでしょう?」

彼女は全て見抜いていた。
私以上に私の事を。

ベルモンドが彼女に惹かれた理由が分かった気がした。

私は剣から手をはなし、懐から異端審問官の証を取り出すと、細かく破り空へと散らす。

散らしたその紙切れは風に流れ去ってゆく。

私はこの時この瞬間に、ベルモンドと同じ反逆者となり…。

彼女の、アーシェの相棒となった。
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