5部分:第五章
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顔を何かと言われてきたわ」
殿様はここで苦笑いになりました。その猿そっくりの顔を自分で指差しながら。
「猿じゃ不細工じゃとな」
「そうだったのですか」
「百姓の倅ということもあるがとにかくじゃ」
「そのお顔で」
「雇われなかったりもしてきたわ。今の上様はそうではなかったがな」
実は殿様はある人にお仕えしているのです。天下を治めている人にです。
「だが何かと顔で先入観を持たれてきたのじゃ」
「左様でしたか」
「だからその鬼のことはわかるつもりじゃ」
会ったことはなくてもです。そうだというのです。
「だから御主のやったことは咎めぬ」
「そうして頂けますか」
「鬼は退治されたわ」
自分で言う殿様でした。そうなったというのです。
「して山はどうなったのじゃ」
「はい、天狗が住みました」
「ふむ。天狗か」
「どうやらよき天狗の様で」
人に危害を加えたりしないというのです。童子との話をそのまま殿様に話したのです。
「これからはあの山も平和になるかと」
「鬼がいなくなったからじゃな」
「左様です」
「ならよい。話はこれで終わりじゃ」
満足した顔になってです。殿様は言いました。
「あの山におるのは天狗じゃ。鬼はいなくなったぞ」
「そうですな。では」
「茶を飲め。茶はいいぞ」
殿様は自分からお茶を淹れてです。重太郎に差し出します。重太郎もその茶を受け取って飲むのでした。重太郎の鬼退治は無事終わりました。
その山から鬼はいなくなりました。そして代わりに天狗が住む様になりました。その天狗はとてもいい天狗で人に悪さをすることはありませんでした。山は平和ないい山になりました。
気さくな鬼 完
2012・1・31
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