追憶
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ワンピースを着た哀しげな少女が、入ってきた私と……身体が一部石化しながら倒れているなのはちゃんの姿を見て、そう言ってきた。
「なのはちゃん!!」
「彼女にはここから退場してもらうわ……そして、あなたもすぐ同じになる……」
彼女が眼で合図を送ると、倒れているなのはちゃんを大人に匹敵するほど大きな鶏に近い見た目の鳥、コカトリスがどこかへ運んでいこうとする。
「ま、待て! なのはちゃんをどうするつもりや!! ……ッ!?」
あ、足に力が入らん!? まずい……強化魔法が切れた状態!
「暗黒物質は魔力を消失させる……あなたが自らの足にかけていた強化魔法が、その作用で消えたようね……」
「くっ……強化魔法無しだと、まだ激しい動きは出来そうにないか……! それでも……諦めてたまるかいな!」
それにコカトリスを追いかけようにも走れなければ追い付けない。飛行魔法もこの濃度の暗黒物質が漂っていては、制御が不安定になる。どうやらこの場をどうにかしてからじゃないと、なのはちゃんの所へ行けないな。
「……」
「そう睨まなくても、無力化した彼女にはもう何もしないわ。ただ……安全な場所に行ってもらうだけ……」
「そう言われても、イモータルの言う事なんか易々と信じられるか!」
「信じられなければ、それで構わない……。だけど、あなたには一つチャンスを与えましょう」
「チャンスやと?」
「……ここから尻尾を巻いて逃げなさい。エナジーが使えないのでは、闇の一族である私を倒す事は出来ない。合理的に考えて、あなたが戦うのは自殺行為だわ」
「……かもしれへんな。でもそれは聞き入れられへん! 友達を見捨てて、おめおめと逃げ帰れるか!」
「友を失い……それでもまだ戦うの?」
「失ってなんかおらん、まだ取り戻せる。だから戦うんや!!」
「いいわ……お次はあなたの番……。さあ、いらっしゃい……」
少女が浮遊して後ろに下がって舞台のような場所で身体が一瞬光り、その正体を私の前に晒してきた。神話にあるメデューサとバシリスクが混ざったような、髪の毛も蛇になっている巨大な緑色のヴァンパイア。初めて私のすぐ目の前で君臨したイモータルから発せられる、凄まじい威圧感を受けて私の頬を冷たい汗が流れていく。
「私はカーミラ……“死せる風運ぶ嘆きの魔女”。夜天の主……サバタ様の命を蝕む魔導師よ……。何も知らない愚かな少女よ……。その罪を……ここで贖うがいい!」
固そうな尻尾で彼女は地面を叩き、戦闘開始する……って、カーミラ? そ、それじゃあ彼女がヴァナルガンドをその身を以って封印した、サバタ兄ちゃんの想い人……!? そもそも石化能力を持っている時点で気付くべきやった……イモータルとして蘇った彼女が暗黒物質を
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