焔の陰には “固定” する腕
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転される可能性も少なくない。
「ここは……風の流れを変える……!」
風の弾丸を撃ち続けるサポートの為に使っていた右足を一時停止させ、立ち止まったままに左腕のみで風の銃弾を連続で撃ちこみ始めた。
発砲音を更に鈍重にしたモノが途切れることなく何度も響き、風を切る音とは明らかに不釣り合いなサイズの瓦礫が飛び交い、到達する前に次から次へと落とされていく。
それでも射出場所が一定の位置から変わらなくなった為か、“腕” のエレメリアンへの被弾数は、ダメージと共に減っていた。
「〔ジョジョジョジョジョジョジョジョオオオオオオオオオ!!!〕
皮肉にも己の弾幕の所為でグラトニーが見えていない彼は、警戒こそしながらもただただ柿色のオーラを染み込ませ、形も不揃いな岩塊に建物の名残である古びた鉄塊を投げ続ける。
その弾幕を無言で冷静に撃激していく中、グラトニーはある一つの偶然が重なるのを待つ。
そして……時は訪れる。
『未だ相棒! 斜め右に突撃シナ!』
「ん!」
僅かに弾幕が薄くなったその隙を逃さず、グラトニーはラースの声に従い落ちた岩を利用すると、脚力のみで体を傾け突撃した。
飛んでくる大岩の陰に隠れ、一度軌道を少しばかり変える。
“腕” のエレメリアンは何も言わぬまま……吠え続けて口が開いているのとはまた違う、普通に驚愕したと言った感じで、大口を開けたまま一瞬固まった。
紛れもないチャンスだった。
空中で何度も何度も後方宙返りをし、やがて縦回転する紫色の円盤にしか見えなくなった……刹那、嘘の様にピタリと止まる。
「《風刃松濤》!!」
「〔ジョオ!?〕」
右足を休憩させ為に溜めた空気と、回転してしこたま取り込んだ空気、そして行き過ぎた勢いづけによりより鋭くより大きくなったカマイタチが、“腕” のエレメリアンへと襲いかかった。
「〔ジョギアアアアアア!〕」
不快切り傷を負わせられて吹き飛び二三度バウンドし、退避した際のお返しか今度は彼が泥まみれになって、眼のない顔でグラトニーを睨みつけてきた。
続けて再び弾幕を張ってくるが……グラトニーの策はこれだけでは無い。
「溜めてたの、足だけじゃ……ないよ」
グバン! と左腕の装甲がせり上がり、更なる力を求めて大気を吸引し始める―――――かと思えば猛烈な勢いで吹きださせて、弾幕を吹き散らしていく。
“腕” のエレメリアンも単なる遠距離では埒が明かないと見たか、自身の腕に更なるエネルギーのオーラをみなぎらせ、より一層柿色の腕が鮮やかに光る。
どちらの策がはまるか、睨み合いは僅か
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