第八十四話
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となったあの浮遊城のポスターだ。当然、巷では回収されている品だったが、彼女はどのようにしてか天井に張り付けていた。
そのポスターと同じように、本棚や寝床の近くには乱雑に浮遊城に関する雑誌が置かれており――どうやら、βテストに関しての記事を読んでいる時に、彼女は寝落ちしてしまったらしい――一目であの浮遊城に偏執的な感情を持っている、と分かる。
ひとしきり体を伸ばして満足したのか、少女は広いとは言えないアパートの一室を歩き回る。浮遊城に関しての物以外で目を引くのは、よく手入れされた仏壇――少女はそこに手を合わせてから、冷蔵庫の中から適当な飲み物を選択し、立ち上げたままだったパソコンの前に座り込む。
少女が待ち望んでいるのはメール。今の少女の行動原理そのものとなっている、とある人物からのメールだった。
「…………♪」
そのメールが来ていることを上機嫌に眺めながら、彼女は今日のメインイベントに関して想像を膨らませる。この人物は約束してくれた。彼女を楽しませながら、こちらも約束を守れば連れていってくれると――あの浮遊城へ。
「あーっ……行きたいなぁ、アインクラッド……♪」
ひとしきりその人物からのメールを確認した後、歌うように口ずさむながら、再び彼女は寝床天井の浮遊城――アインクラッドのポスターが見えるように寝転ぶ。そして近くにある《ナーヴギア》を被ると、彼女はあるVRMMORPGの世界へと入っていく。
「今日はショウキくんと……どうやって遊ぼうかなぁ……」
彼女がこれから入ろうとする世界――ガンゲイル・オンラインの世界での名前は、銃と硝煙の世界だろうと『愛』を意味する《リーベ》。ショウキが最も《死銃》ではないか、と疑っている『踊り子』であり――『SAO失敗者』である。
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