第3章 リーザス陥落
第37話 封印の鍵を求めて
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し、ただ邪悪に顔を歪めるだけだ。
「誰も助けは来ない。終わりだ。……全て、ねぇ」
ミネバがそういったその瞬間だった。
世界は光り輝いた。暗黒、暗闇しか見えなかったのに、突然眩いほどの光に包まれた。
その光は、ミネバを消し去り、そして磔にされていたリアやマリスの身体を優しく包み込んだ。ゆっくりと、体中に着けられた傷は消え去り、その身体には生気が戻っていく。
『……助けは来る』
「ッ……」
ミネバが消えたことで、宙に飛ばされてしまい、落下を続けていた少女を誰かが抱かかえていた感覚がした。それはとても温かい感触。少女は、思わず手を伸ばした。
光の向こうへと、手を必死に伸ばした。……願ってる未来がその先にあると思ったから。
『よく……頑張ったな。かなみ。……もう大丈夫だ』
聞こえてる感じてる。少女は、かなみは ずっと泣いたままで、その光を抱きしめた。
〜アイスの町・ユーリの家〜
かなみは、ゆっくりと目を見開いた。
あの温かさは現実のものだったのだろうか?
夢とは淡いものであり、目を覚ますと殆ど覚えていない事が多かったのに、はっきりと思い出すことが出来た。
「(ここ……は?)」
目を開いたその天井は見慣れないものだった。
目で周囲を見た所、部屋の大きさは……4畳半〜6畳間と言った所だろうか。清潔感があり、とても綺麗な印象がある。天窓からは日光が射し、部屋全体が温かく感じる。温かいけれど、頭はひんやりしててとても気持ちが良い。
「ん、しょっと……」
「……??」
声が聞こえてきたかと思えば、頭の熱が更に冷めてきて気持ちよくなってきた。どうやら、頭がひんやりとするのは、額に濡れタオルを置いてくれているからのようだ
「む〜……。もうちょっと絞った方がよかったかな? お水がついちゃうよ」
かなみが意識を取り戻しているのに判って無い様子で、ぎこちない手つきで介抱を続けていく。かなみの額のタオルは、確かに水気が随分残っているようで、残った水が流れ落ちていた。
「あ、あなたは……?」
目を覚ましたかなみは声を掛けた。
自分がここで介抱されている事に何とか理解は出来たようだ。
「わっ!」
見てみると、大きな帽子をかぶった女の子だった。声を掛けられ、そして目が合い驚いたようだ。だけど、にこりと笑顔を見せてくれた。とても可愛らしい笑顔で、こちらも元気になるというものだ。
そして、目を覚ましている事がわかるや否やしゃがんでいた身体をぴょんと、飛び起こすと。
「おにいちゃぁんっ!! お姉ちゃん、起きたよ〜〜!!」
大きな声で、とて、とて、と音を立てながら走っていっ
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