第3章 リーザス陥落
第37話 封印の鍵を求めて
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だ。
「くっ……」
少女は、歯軋りをする。
自分は何も出来ずに、一矢報いる事さえも出来ず逃げる事しか出来ない。でも、今は走るしか出来ないんだ。
「ああ……、でもまぁ 追う必要はなくても、……生かしておく理由も無いんだよねぇ。こんなに近くにいたら、さぁ?」
その時だった。
間違いなく、少女から何10mも離れている筈なのに、あのミネバと呼ばれる女が目の前にいたのだ。それはまるで、瞬間移動をしたかのように急に。
「なっ!! あぐっ……!」
少女は 思わず距離を取ろうとしたが、それよりも早く首根っこをつかまれてしまった。まるで万力に締められている様に、ギリギリ……と鈍い音を響かせながら力を加えられていく。
「鼠みたいな相手だ。だが、それでも、ちょろちょろされるのも目障り、ってもんだろ? ふふふ……」
「ひっ……」
その凶悪極まりない笑みを至近距離で見てしまった少女。……身体の芯から震えてくる。こんな感覚は、あの時以来だった。
「そうさね。……死ぬ前に良いものを見せてやろうか」
女兵士、ミネバと呼ばれた女は、はそう言うと、乱暴に少女の首を掴みながら、無理矢理にある方向へと視線を向けた。そこには……。
「あ、……ああっ……」
目を逸らしたくなる様な光景がそこにはあった。
磔にされている主君の姿があったのだ。
その隣には、筆頭侍女であり最も信頼する側近であるマリスの姿も、同じように磔にされている。その身体に纏うものは何も無く全裸であり、さらに身体のいたるところから血を流している。
もう……その身体が既に冷たくなっている事は、少女の目からも直ぐに理解出来た。
「利用価値が無くなったてさ。もう 終わったんだよ。リーザスはね」
「う、ううっ……」
少女は、涙を流していた。守るべき主を失ってしまった事への絶望。そして、何も出来なかった自分への絶望。それらが彼女を襲っていたのだ。
「……安心しなよ。直ぐにあんたも後を追わせてやる」
ニヤリと再び笑ったミネバは、軽く手に力を入れていた。それははっきりと判る。
ゆっくりとゆっくりと、……除々に力を入れていっているのだということが。死ぬその瞬間まで意識を残そうと言う絶妙な力で。
「か、か……ふっ……」
「お? 死んだか……? いや、まだか。やるねぇ……。ただの鼠にしちゃ大したもんだ」
苦しむ少女の状態を楽しみながら、ただ只管責めていくミネバ。目的は命じゃない。ただ、苦痛で歪む姿を見る事。それを理解するのに時間は掛からなかった。
「(だ、だれか……た、たすけ……)」
必死に酸素を取り込もうとし、そして 懇願をするが、まるで意味が無かった。それを察
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