第3章 リーザス陥落
第37話 封印の鍵を求めて
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ゆー……りさん?)」
目の前の人の姿を、霞が掛かっていた視界だったが、確かに見る事が出来た。その視界が更に歪む、ぼやけてしまう。それが、自分の涙だと言う事には気づかない。
「(あ、ああ……かみさま……)」
かなみはこの時……思わず神に感謝をせずにはいられなかった。
ついに意識も無くなり、倒れてしまった時。リア様やマリス様の最後の希望として、逃がしてくれたのに……と
自 分の不甲斐なさを呪うしかなかったんだ。最低限度の行動をしたとは言え、意識を手放し……このまま死ぬとさえ思ってしまった。
だが、次に目を覚ましたらそこには、今最も会いたかった人物がいたんだ。その優しい腕に包まれていて温かった。
「(ユーリさん……ゆー……り……)」
かなみは、安堵感からか再び瞼が閉じ 意識を手放した。その温もりを最後まで感じながら……。
〜???????〜
少女は悪夢に魘されていた。
それは、極めてリアルに近い夢。故に、少女には現実にしか感じられなかっただろう。
必至に城外周部より脱出出来たのだが、敵部隊は城外にも配置されていたのだ。誰一人として逃がさない。そう言う意志を向けられた気分だった。
だが、それでもか彼女は必至に走った。
途中で見つかり、切傷をつけられ、矢を放たれたが、闇に紛れて逃げ出す事が出来たのだ。その途中で出会ったあの恐怖を忘れる事が出来ない。隆々たる体躯と鼻の上に一本傷を持つ赤髪の女兵士。軽々と、その凶悪な斧を振りかざすその姿は悪鬼のそれだった。そして実力も一目見ただけで判った。訓練を受け続けて来て、多少なりとも 力を付けたからこそ判る。
今の自分じゃ決して勝てないという事を。
「はぁっ……はぁっ……」
何本もの矢が打ち放たれた。
被弾はしてしまったが、決して動けないほどではない。必至に逃げ回り何とか森の中へと入ろうとしていた。森ならば死角が多数でき、逃げ切れると思ったからだ。
「ふん……」
「ミネバ様、どう致しましょう?」
弓兵の1人が、あの女兵士に、恐らくは隊長クラスの手練の女に、そう言っているのに気づいた。
「あんな小娘に何ができるって言うのさ? 今はもう深夜だ。無意味な事だよ。後この件は報告はいらないよ。何か出来るわけでもなさそうな小娘1匹逃がしたくらいであの馬鹿皇子に責任つけられるのも癪だ」
大きな斧をぶんっと風切り音を出しながら振り下ろした。どうやら、追撃はしてこない様だ。……だけど。
「ふふふ」
笑っていたのが判った。
即ち、わざと逃がしてくれたようだ。
何ができるのか? と言っていたところを見ると、追う必要性が無いとも思っているよう
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