第1章:平穏にさよなら
第2話「日常」
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「忘れ物はないかー?」
「大丈夫!問題ないよ。」
洗濯物を緋雪と一緒に干し終わり、鞄を持って玄関を出る。
「うぁー、今日、社会あるんだよねー。」
「苦手科目だもんな。頑張れよー。」
学校へと歩きながら緋雪とそんな話をする。
「お兄ちゃんは、苦手科目とかないの?」
「うーん...ない、かなぁ?強いて言うなら、英語だね。」
これでも前世は大学卒業して社会人にまでなってたからね。いくらなんでも小学生の問題で躓かないよ。
「公立の小学校だったら英語はもっと簡単だろうにね。」
「仕方ないよ。今更他の学校になんて行けないんだし。」
僕達兄妹が通っている学校は、この辺りでも有名な私立の学校だ。親が行方不明になった時、緋雪の入学はもう決まっていたので、ここに通っている。親戚とかは頼りにならないし、今は保護者に当たる人がいないから、転校もする事ができない。...まぁ、お金に関しては平気だったけど。
「あ、もうそろそろ着くよ。」
「そうだね。」
適当に話していると、僕達が通う小学校、私立聖祥大附属小学校の門が見えてきた。
「じゃあ、緋雪、今日も頑張れよ。主に社会。」
「うっ...が、頑張る...。お兄ちゃんも、また昼休みにね。」
「おーう。」
下駄箱で上靴に履き替え、緋雪は四年生なので二階、僕は五年生なので三階に行くため別れる。
「おはよー。」
「おはよー志導君。」
教室に入りつつ挨拶をすると、何人かの人が挨拶を返してくれる。
「なあ、優輝。宿題、見せてくれないか?」
「...またやってこなかったのか?」
「あっはっはー。....ごめん。」
友達の一人が僕の名前を呼んでそう頼み込んでくる。...いや、謝るくらいなら自分でやってきなよ...。
「計算の仕方がよくわからなくてよー。つい放置しちまったぜ。」
「いや、せめてできないながらもやれよ。うちの妹もそうしてるぞ。」
「うぐっ....。」
まぁ、緋雪もいやいや言いながらだけどな。
「...はぁ。ほら、提出前には返せよ?」
「わかってるって。」
そう言って自分の席に戻る友人。それと入れ替わるように一人の女子生徒が近づいてきた。
「...志導君、また宿題貸しちゃったの?」
「一度貸さずにひどい目を見たら懲りるとは思うんだけどねー。ほら、どうも僕はお人好しみたいで...。」
この性格は前世から続く。どんなに辛い目に遭ってもこれだけは変わらなかったので、そういうものだと思っている。...さすがに人は選ぶけど。
「私が言うのもなんだけど、優しくしすぎると堕落しちゃ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ