第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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……だこれ……は!」
「が……ぅぅ……」
生き残っている複数の兵達も例外なく頭を抑えており、もう半壊している。いや……我が軍が崩壊しているのがわかった。
リックは、必至に頭を上げた。
その先にいるのはトーマ。
どこか悲しげに自分を見ている。この人の逸話は、敵国にも轟いているのだ。心技体の全てを兼備えた豪傑であり、誇り高い男。それはたとえ、戦場であっても、敬意を示さずにはいられない程の男。
そんな男が……、こんな方法を?
人類の敵でしかない魔人の手を借りて……?
「とー……ま……」
「悪いな死神。お主とはもっと違う形で決着をつけたかった。次世代の強者とこんな形では、本位ではなかった。だが……」
ヘンダーソンの後ろにいる男の方を見た。そこにいたのは青い髪をし、凶悪な表情をして周囲を見渡している男がいた。
「パットン皇子」
「よくやってくれたトーマ。これで我が目的を達成する事ができる。魔人と手を組んだ我がヘルマンに最早敵などは無い」
「ま、まじんと、てを? そ、む、むぼうだ……、」
「ふん。落ちたものだリーザスの赤い死神よ。何を言っても負け惜しみにしか聞こえんな。現に今の貴様を縛っている力。呪いは魔人のものだ」
パットンは勝ち誇るように高らかに笑いを上げると、足を進めた。
「リーザス女王はこの先か……、行くぞ」
「はっ!」
無数のヘルマンの兵を引き連れ、大階段を上がる。そして、リックを横切ろうとしたその時。リックは全神経を腕へと集中させて、パットンの脚を?んだ。
「い、いかせは……しない……」
「………」
トーマは、敵ながら天晴れだとこの時心底思った。
催眠術を得意とする魔人、その名の通り、人外の力を食らっても尚、主の盾となり、守ろうとしていたのだから。
だが、パットンにはそうは映らない。
ただ、虫けら、ゴミを見るように見下ろしていた。
「汚い手を離せ。いや……」
パットンは、言葉と共に、脚を上げた。
「もう眠れ。落ちた死神よ」
そのまま、頭に一撃を喰らわせた。トーマとの一戦での体力の消耗、そして未知の力で身体を封じられた状態。そんな時に巨漢のパットンから思い切り頭に一撃を喰らわされたのだ。
今のリックとってはひとたまりも無いものだった。
「……む、むね……ん……(りあ……さま、まりす、さま……もうし……わけ……)」
最後に思うのは守るべき主の名前だった。守れなかった事の謝罪を……していた。そのまま、リックは意識を手放した。
「トーマ、お前にしては随分と梃子摺ったな。黒の将の倍以上はかかったのでは無いか?」
「彼奴は不意打ちでしたので。同年代の猛者。正面から叩き潰したかっ
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