第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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れほどの高揚感は久しぶりだ」
トーマは、確かに捕らえたと思った一撃を躱された事に笑っていた。傍から見れば、外れた様に見えるがそれは違う。リックが、あの一瞬で躱したのだ。致命傷を避ける為に。
「私もです……」
リックは、剣を構えなおした。頭に響いてきたような声は確かに気になる。だが、それを考えている余裕はまるで無いんだ。
リックは突きの構えを取る。最大最速最高の業を繰り出す為の構え。
「これが私の最高の技! 勝負!」
「受けてやろう。……来い!」
伸びる剣閃を縦横無尽に繰り出す剣技。
広範囲且つ高速に巨大な楔形の剣圧を前方に放ち敵集団を切り伏せるリック最強の技。その名も……。
「殲滅する!バイ・ラ・ウェイ!!」
撃ち放った剣撃の壁とも言える超高速の剣技。
「ぬう!!! 全てを粉砕する 秘剣 骸斬衝!」
トーマは、その剣を正面から受けると言うより、高速の剣を力で捻じ伏せる。棘鉄球をまるで手足の様に操り、叩きつけ、衝撃を生み出したのだ。
「ウララララアアアアアアァァァ!!!!」
「ぬおおおおああああああああっ!!!!」
凄まじい衝撃と、2人の咆哮は、場の空気をも飲み込んだ。
「行けぇぇ!!リック!!」
コルドバは、トーマ以外のヘルマン兵士達を捻じ伏せながらも、リックに叫びかけた。
あの高次元の戦いでは、下手に手を出してしまえば、邪魔になってしまうのだ。それどころか、脚を引っ張ってしまい、いらぬ傷を与える事にもなりかねないのだ。
だが……その瞬間だった。
奇妙な音が聞こえてきたのだ。その音は……まるで、水に雫を落とし波紋が広がっていくようにゆっくりと確実にこの場全体を包んでいった。
「なっ……にっ……?」
その瞬間、リックの身体は動かなくなった。自分の意思で動く事が出来なくなっていたのだ。
「む……」
トーマもそれは判っていたようだが、技を止める事は出来ない。骸斬衝はリックの身体を捕らえると、その身体は宙を舞った。
「おほほほほ……トーマ将軍。お楽しみの所を申し訳有りませんが、迅速に制圧せよと言うご命令が下ってましてね。わたしがさっさと手を下すように言ってしまいました。おほほほほほ。これでリーザスも終わりね。ま、魔人の力を持ってすれば、ゴミみたいなものよ」
後ろから笑いかけてきたのは、ナマズ髭、そしてオカマ口調が特徴の中年男。トーマ・リプトンの配下であり、今回の作戦の第3軍の司令官の1人だ。
「ぐぁ……く、 これ……は……?」
リックは頭を抑える。剣はもう持てなくなってしまい、地面に落としてしまっていた。辛うじて頭を動かし、まわりを見る。
「ぐ……ぁぁぁ!! な、なん
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