第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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……死神」
ヘルマンの兵士達をまるで掻き分けるように……正面から出てきたのだ。巨漢な兵士が多いヘルマン軍の中でも更に巨体を誇る男。赤いモヒカン頭に黒い大鎧、鎖つきの棘鉄球を携えた巨躯の重騎士。
現人類最強と称される男 《トーマ・リプトン》だ。
「まさか……ここまでの大物が出てくるとはな」
コルドバは一筋の汗を流していた。離れていると言うのに凄まじい威圧感を感じる。
人類最強の名に偽りは無い。間違いなくそう思えるのだ。
「化物……」
キンケードは、脚が竦み震えていた。
幾ら気の弱い自分でも睨みつけるだけで、ここまで震えたことなど一度も無い。蛇に睨まれた蛙の様に体中の筋肉が萎縮してしまったのだ。
リックはもう、レイラ達の所へと行く事は叶わないと悟った。今、背を向ければ殺られると悟ったのだ。間違いなく敵の最大の戦力が目の前にいる。今逃げずに打ち倒す事ができれば、士気を崩す事もできる。
「……お相手しましょう。トーマ殿!!」
「そうこなければな……行くぞ! 死神!」
2人の視線が交わった瞬間に、弾かれた様に両者は動いた。
凄まじい剣速の攻撃をトーマは十分に見切り、そして時には堅牢な鎧で受け止め、棘鉄球をリックに打ち込む。
リックも剣閃の数を増やし、迎撃する。
その高レベル、高次元の戦いはまわりの兵士達の目をも虜にする程のものだった。人間界トップクラス実力者の戦いなのだから。
〜リーザス城2F 大広間〜
この場所はリア女王達を守る為の最後の砦。これより先にはもう何も無い。敵も魔法を使える者がいる以上、結界もまるで意味を成さないからだ。
「ここは……絶対に通さないわ!」
《レイラ・グレクニー》
見目麗しい女性だけで構成されている親衛隊隊長(金の軍将軍)
彼女は、齢14歳でリーザス剣技大会を優勝して以来も勝ち続け、リックに次いでリーザスNo.2の剣の腕を誇るのだ。
剣を正面に向けて構えた。その足元には、向かってきたヘルマン兵の複数の身体が横たわっている。
それを見ただけで容易ではないと推察されるだろう。だが、次に立ちはだかっているのは……
「ふ……ふふふ、美しい姿ですね。その立ち振舞い、そしてその目。人間にしておくには惜しいと言うもの……」
「舐めないで!!」
「そして、中々に強力……だ。だが、所詮は人間業」
男は軽くレイラの剣を弾くと、そのまま首を?んだ。
「あぐっ……!?」
レイラの身体は宙に持ち上げられた。
「れ、レイラ様っ!」
「わ、わたしに……かまうな……! やれっ……!! (きっと……きっと りっくが……)」
「ふふふ、この状況で尚、絶望を捨てませ
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