第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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、忠臣とは言える筈も無い。
そして、それは誓いを反故にするという事だ。
「かなみ。もう貴女しかいないのよ。私達を救う事が出来るのは」
「わ、判りました……必ず、必ず助けに戻ります」
「ふふ、期待をして待ってるわ。ランス様と一緒に戻ってきてくれるのをね?ああ、貴女にとってはユーリ様と一緒の方が良いかしら?」
リアの明るい表情も、いつもなら自分をからかっている言葉でも、今の自分にはいつもの様に答えられない。照れて表情を赤くさせることだって出来ない。ただただ、今助ける事が出来ない自分の無力さを嘆く事しか出来なかった。
「かなみ。……きっと大丈夫。大丈夫だから落ち着きなさい。今できる最善の事をするの。さぁ、この盾を。後は頼みました」
「は、はい……」
涙ぐみながらマリスから盾を受け取るかなみ。
そして、2度、3度とマリスとリアの方を見て 窓から飛び出した。リアはそれを見届けるとマリスの方に向き直した。
「マリス。捕まる前にする事があります」
「はい」
マリスはリアが何を言うかをもう悟ったようだ。カオスを狙う以上は……やるべきことは1つしかない。
「リアと貴女に知識ガードの魔法を掛けなさい。魔人達やヘルマンの誰にも話さないように、あのランス様の事を決して話さないように」
「リア様……いえ、判りました」
マリスは言おうとした事を言う寸前で留めた。心底惚れてしまった事は判っているのだから。だからこそ、かなみにとってのあの人の様に、今の心の最後の拠り所にしているんだ。だからこそ、耐えられる。怖さをも捻じ伏せる事ができるんだ。
「最後までお供します。リア様」
「ふふ、マリスとはずっと一緒だったものね。宜しく頼むわ」
リアはマリスの手を取った。マリスは、自身が7歳の頃からずっと一緒にいてくれた。姉のようで、親友のようで、初めての信頼出来る人だった。
その時だ。
扉の前が慌しくなってきたのが判った。この王室に繋がる通路にある扉もそれなりに強固なものだが、最早時間の問題だろう。
「お茶、淹れて。マリス。……もう、暫く飲めそうにないし。それくらいの時間は保つでしょ?」
「……はい。畏まりました。リア様」
不作法な靴音、そして轟音、そして 小さくお茶を準備する音が、混じって響く。信じる様な神はいない。けれど、リアの脳裏には自然とただ1人の姿が浮かんできた。
「(……かなみも、こんな気持ち、なのね)」
その脳裏に浮かぶ顔を、見ながら、その力強い笑顔を見ながら、強く心に焼き付ける為に、目を伏せた。それだけで少しばかり、先の不安、焦りが胸の高鳴りに紛れてくれるような気がしたのだ。
「ダーリン………お願い………」
そして、マリスもお茶を淹
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