第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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、その彼の剣も素晴らしかったです。ですが……目を奪われたのは彼だけではありません。寧ろもう一方の方が本命」
「なに?」
「あの大会の優勝者です」
リックがそう説明した。
バレスはあの大会では、途中棄権をしたため、不戦勝と言う形で試合が終わってしまっていた。だからこそ、優勝者にはさほど気に留めて無かったのだ。
バレスは知らなかったのだ。
ユラン戦と対を成すもう1つの準決勝を。
コロシアムの歴史上、嘗て無いとも言われる試合が日に二度もあったと言う事を。ユランの敗北と言うインパクトの前にかき消されてしまったのだから。
「彼の事を考えると、私の剣の腕は、きっと私など足元にも及ばないかもしれない。そう思ったらもっともっと強くなる、なりたいと思うのです」
「リック、お前は……いや、何も言うまい」
バレスは口をつぐんだ。
リック将軍はリーザスが誇る最強の将軍だ。リックの実力を知っているからこそ、その自分の評価を低く見ているリックを諭そうとしたのだが、やる気を削ぐ結果になるかもしれない。そんな男じゃないと判っているが、口を閉じたのだ。
「がははは! リックがここまで言っている相手だ。オレも見てみたかったな!」
「コルドバか」
「コルドバ殿」
《コルドバ・バーン》
もう1人、現れたのはリックと同じ地位にまで上り詰めた男。リーザスの青い壁とも称され、その名に恥じない抜群の防御力を誇る。リックの模擬戦に一番長く付き合える男なのだ。
「はぁ……私も付き合わなければならないのですか」
「当然だ、キンケード! たまには身体を動かすのも悪くないぞ?」
「いや、ですが リック将軍の相手など、もう私には無理ですよ。荷が重すぎます」
「何をご謙遜を……、私が壁の高さを知ったのはキンケード殿、貴方の剣に破れたからです」
「それは、リック将軍のデビュー戦での話でしょう? その後はあっという間に追い抜かれてしまい、立つ瀬が無くなってしまいましたよ?」
《キンケード・ブランブラ》
青の副将軍でありその戦闘力は将軍にも劣らない光ものがある逸材。だが、気の弱さがその分有り余っているから、実戦で同じ実力を発揮できるか?と言われれば首を縦にはふれない。
彼もそれは重々わかっているようであり、年齢的にはバレスに次ぐ歳なのだが、気楽なナンバー2の副将軍の方が気に入っていると言う部分を持っているのだ。嘗て、リック将軍をものの数分で打ち負かした実績はあるが、それはもう過去の話しとなってしまっている。
……リックはそうは思った事は無いようだが。
「がはは、これで、メナド、エクスやハウレーン嬢、チャカ殿、レイラがいれば、全ての色の将軍が総揃いで良い訓練ができると思うのだがな?」
「ま
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