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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第180話 過去の闇
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も。
キリトもリュウキも、同じ考えだった。
あのボロマントの男が消え去った後、キリトは震えが止まらなかった。確かに、あの男はあの時にいた筈だった。だが、今のキリトの頭に過ぎったのはそこではない。
――……もしかしたら、あのマントの中にいたのは、オレがこの手で殺した3人、いや4人の誰か?
脳裏に過るのは、記憶を何処かに、心の奥に放置した筈だった。忘れ去ったつもりだった。目の前にいるリュウキの背中を見ながら、後ずさりをする様に、背後に備え付けられている椅子に力なく落ちた。
心底おびえている。両手を見たら、それが震え続けているのも判る。
キリトは、震えている両手を見た後、目の前にまだ立っているリュウキを見て。
「………つよい、よな」
不意に、キリトが声を発した。これは考えていった言葉ではない。あの男が死銃だと言う事を目の前のリュウキは看破した。
そして、更にあの時の悪夢を一笑する様に、跳ね返す様に、彼は押し退けた。
――やっぱり、オレは仮初、なんだ。オレには。なんの力もない。
キリトの中でそれは、何度も思った事だった。いままでの事件でもそう。
SAOもALOでも。
……この男がいなかったら、なにも出来なかった。これまでも、そして、今も。そう、どんな言葉で取り繕うと、乗り越えたと勘違いしようと。……本質は変わらないんだ。
「………やっぱり、オレは、なにも変わらない」
キリトが続いてそう言う。
肩を落とし、両の肩を掴み、そして震えていた。アミュスフィアの安全装置が働き、自動ログアウトをしてもおかしく無い状況。そんな時。声が聞こえた。
「……つよい。……それは、オレの事が、か?」
その声を聞いて、キリトは思わず顔をあげた。先ほどのリュウキの声じゃない。いや、声自体は、別人に変わった、と言う訳ではなく単純に覇気の問題だった。
「キリトには、そう見えるのか。今のオレが」
この時、キリトは初めて判った。リュウキの肩が、いや、身体が僅かに震えている事に。
リュウキはゆっくりと振り返ると、キリトに対面になる様に座った。
「……オレは強くなんかない」
「なに、言ってるんだよ……」
キリトはリュウキの返答を訊いて、直ぐに返す。そんな訳無い、と弱々しい身体に喝を入れて、それを声に変えて。
「……お前がいなきゃ、オレは逃げていたかもしれないんだ。……アイツがあの連中の1人だと知ったその時にでも、……オレは」
キリトがそういった瞬間、リュウキはキリトの目を見た。リュウキの赤い瞳がキリトの目を捉えた。
「……知ってる筈、だろう。キリト。……オレはひとりじゃないから、立ち上がる事がで
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