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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第179話 右手の悪夢
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――予選第1回戦。
その立ち上がりは静かなものだった。場所、天候、時刻の全てがランダム仕様で決定されるステージ。今回は視界が極めて悪い夜間での戦いだ。視界がきかない以上、行動は慎重にするのが定石だろう。
「(ふふふ、ラッキーだったぜ)」
対戦相手である《痛み》と言うコードネーム(アバター名)を持つ《Pain》。
闇の中で、ゆっくりとだが、確実に障害物を躱しながら、接近していく。敵対している者は、これまで通りであれば、500m程接近すれば出会うだろう。そして、男が言うラッキーと言う理由の1つが。
「(暗視スコープ。ストレージに入れっぱなしだったが、功を成したってもんだ)」
そう、頭部に装着しているのは暗視ゴーグル。夜間での行動では必須である装備品。本来、視界のスキルを上げていけば、それなりには対応出来る様になっているが、やはり補助装備には敵わないのだ。そして、その弱点として、強烈な燈りを発生させてしまえば、よく見えている分、目に異常がでてしまう……のが本来の仕様。流石にゲーム内でそんな事になったら、現実世界での影響もあるかもしれない、と言う事で、視界不良のペナルティが発生する程度だ。
勿論、なってから装備品を外したとしても、無意味だ。 目隠し状態でプレイしなければならない、と言う事。
「(敵側に
閃光手榴弾
(
スタン・グレネード
)
の類が絶対にねぇってことは言えねぇからな。……距離を潰したら一気にケリを付けてやる……)」
肩にかけた
短機関銃
(
サブマシンガン
)
。
□ トンプソン M1928A1。
《トミーガン》と呼ばれている短機関銃。
現実では米軍向けの改良モデルであり補助兵器として大量に量産された銃。歴史も古くマニアには人気がある
短機関銃
(
サブマシンガン
)
の1つだ。
「……嬲ってやるぜ」
舌を少し出し、上唇をベロりと舐める。
コードネームから察するに、他人に痛みを与えることを喜びとしているフシがある男であると予想され……じゃなく、そう言う類のプレイヤー。……正直、最悪だ。と思える男ではあるが、現実でははっきり言って臆病者。ネット弁慶の類の者なので、現実で、ニュースになってしまう様な悪影響は見られないだろうから安心だ。
「ご、ごほんっ!! ……さ、さっさと行くか」
何やら察した様であり、中腰のまま、限りなく早く、それでいて物音を立てずに、森林を超えていく。見えてきたのは、廃屋。周囲にはヘリや戦車の残骸があちこちに散らばっている所から見ると、兵器を格納していた基地、だと思える。
「(死角が多いな……、だが オレにゃ暗視ゴーグルがあ……ん?)」
暗視ゴーグルをが影を捕らえた。それは、悠然と離れにある建物近づいていく者の姿。P
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