暁 〜小説投稿サイト〜
moon light fantasy
撤退と推測
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…たった一人を除いて。

「…ゼツが行方不明なのか。」
「そうそうそれ気になるでしょ〜?
…あ!マスター!私はオレンジジュースちょうだい!」

そう言ってランは話を切ると酒場のマスターにオレンジジュースを頼む。マスターは嫌そうな顔をしたがボソッと「あるよ。」と呟いて、オレンジをどこからともなく取り出して絞り始めた。
そしてランは人差し指をビシッと立てて。

「ちょっと訳ありだと思わない?ぜっくんが居なくなってから急に『炎帝』の噂が出て来たんだよ?」
「…。」

『紅蓮の帝』ゼツ。
火属性の魔法を使うのなら最強の魔術師。さらに剣の腕前も抜群。昔、兵士が100人以上居ないと倒せないと言われていた『クリスタルドラゴン』を3日に及ぶ戦闘とはいえ1人で倒した伝説がある。
…知ってる。だってゼツは…。
するとランが珍しく真面目な顔をして。

「さらに。ここを見て。」
「……これは。」

そうやってランが指を指す場所。リストの古いところにある名前が書かれていた。
するとニナが驚いた。

「リナちゃんじゃん??なんでリナちゃんも…?」

そうそこに書かれていたのはリナ。ゼツの恋人の少女の名前だ。
これを見て何かが繋がってきた。

「…ひょっとしてさ。リナちゃんがさらわれたからそれを助けに行こうとしたゼツ君が…おそらく『炎帝』の『魅惑の魔眼』に操られたリナちゃんを助ける為に協力させられてるんじゃ…?」

ニナがそう言って3人は黙り込んだ。というかそうしか考えられない。
という事は今、『炎帝』と呼ばれているヴァンパイアと共に『紅蓮の帝』であるゼツとも戦わないと行けない事になる。
…かなりキツイな。そう考えていると不意にどんとランのオレンジジュースがテーブルに置かれた。
それを黙って飲むランと難しい顔で黙り込むニナを見て俺は立ち上がった。

「…誰であろうと関係ない。
目の前の敵は叩き潰す。それだけだ。」

そう言って俺は酒場からマスターに適当に金貨3枚を渡すと酒場を後に、酒場と隣接するとってある宿に歩みを進めた。
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