未確認な追憶
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「嘘…だろ…?
マジ……なの? まさかな漫画的なシチュエーションなんて〜俺認めないよ?」
何度、制服のジャケットを漁っても生徒手帳は見付けられず。
結局、その場で立ち止まったまま時間は過ぎた。
カチンッ!
全校内の電気は消えた。
暗闇の中を俺はゆっくりと進む。過ぎた事は仕方ない。
打開策を考えよう。現状を把握出来すると俺って馬鹿だな〜と壁に頭を叩きつけたくなるが無駄な体力消費は今後の事を考えて諦めるのだった。
手元のスマホを使って助けを呼ぶ!
名案だ! と思った瞬間。俺は絶望の淵を落ちる。
スマホの充電がイってる…………公衆電話は……あぁ、駄目だ。今日、財布忘れたんだった。
窓ガラスを割って自力で脱出するか?
コツコツと窓ガラスを叩くと割れそうな感じがした。
試しに強めに叩くと案外割るんじゃね? と淡い希望が俺を照らす。
一点集中!必殺!シャイニングヒィンガー!!!!!
ゴキッパキッ
「痛ってエエエエエエエエエエエエエ!?」
硬った…………てか、今更思い出した。
この学校のガラスは全部特殊加工された逸品。考えれば割れる訳ねぇじゃん!
この強度だと椅子とか机使っても割れないな。
辺りを探せどこの状況を打開する手段は…………あぁ、監視カメラだ。
通報されれば脱出可能だ、なら、もうちょっと続けるか。
真っ暗な学校の廊下を歩くとテンション上がるな。恐怖より探求心が勝ってるのか案外暗闇は平気だ、夜道の散歩は楽しいねぇ〜なんてぼやきつつ俺は女の子を探すのだった。
もぉ、タイムリミットだ。
少女は職員室の時計を眺め、呟いた。
彼は、『運命』を遮るか……結末を変えられるか……数は限られるぞ。
数回の連鎖はそろそろ少年の記憶に変化を与える。
まぁ、阿呆か馬鹿なら。
決められた結末を繰返すだけだ。
救える回数と助けられる回数は別だ。
基本的に救える回数は一回。助けられる回数は人の気分。
少女の気分で少年の運命は変わる。変えられる、変える事を望めば少年の運命は変わる。
少年の名前……確か、八尋 十咲だったかな。
やっと名前を覚えられたよ。今回の君は以前の君達と比べて馬鹿ポイからな。
する事は同じでも第一印象はまぁまぁだったよ。普通の男子高校生だ、女の子との会話が苦手な普通の男子。
また、私を救おうと死ぬんだな……君は。
今回の結末も以前と変わらない。
八尋の人間味が変わっただけ。結果は見ずとも分かる。
コレを続けても私は救われない。そろそろ君も、報われなよ……名前も知らない私を助けるな、救けるなよ。
階段を駆け上がる音は校内を響かせる。
タイムリミットだ。
何度も、何度も、繰返された。
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