放浪剣士
魔女を愛した男V
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真実から目を背けるな」
ベルモンドの手の力が増し、さらに血が滴り地面を赤く染めて行く。
私はその鬼気迫る表情と、衝撃的な告白に何もできなかった。
「お前の考え、感じた真実で私を裁け。私が間違っているならば、この手を切り裂き私を切り裂け」
私は―――。
私は絞り出すように声を出す。
受け入れてはならない。
受け入れるわけにはいかないのだ。
彼を肯定してしまえば、私は―――。
異端者と共存などできる筈がない―――。
私は剣を手放し、地面に打ち捨てられていたベルモンドの剣を取り、高々とそれを振り上げる。
私は異端審問官だ―――。
一直線に降り下ろす剣。
ベルモンドの顔は、笑っていた。
全てをわかっていたかのように。
私は、それが悔しかった。
何故―――。
剣はベルモンドを切り裂くことなく、彼の肩に薄く切り傷をつけただけに終わる。
なのに、何故私はあなたを斬れない―――。
気が付くと、私の頬には一滴の涙がつたっていた。
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