暁 〜小説投稿サイト〜
White Clover
放浪剣士
魔女を愛した男V
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
真実から目を背けるな」

ベルモンドの手の力が増し、さらに血が滴り地面を赤く染めて行く。
私はその鬼気迫る表情と、衝撃的な告白に何もできなかった。

「お前の考え、感じた真実で私を裁け。私が間違っているならば、この手を切り裂き私を切り裂け」

私は―――。

私は絞り出すように声を出す。
受け入れてはならない。

受け入れるわけにはいかないのだ。
彼を肯定してしまえば、私は―――。

異端者と共存などできる筈がない―――。

私は剣を手放し、地面に打ち捨てられていたベルモンドの剣を取り、高々とそれを振り上げる。

私は異端審問官だ―――。

一直線に降り下ろす剣。

ベルモンドの顔は、笑っていた。

全てをわかっていたかのように。

私は、それが悔しかった。

何故―――。

剣はベルモンドを切り裂くことなく、彼の肩に薄く切り傷をつけただけに終わる。

なのに、何故私はあなたを斬れない―――。

気が付くと、私の頬には一滴の涙がつたっていた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ