第2.5章 出会いと再会は唐突に
第35話 またいずれ……
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ユーリの所に戻る』と、言ってきかなかった。危険だと言う事を何度伝えても、決して首を縦には振らなかった。
そのヒトミの思いは、勿論イージスにも伝わっていた。
助けてくれた恩人なのだから。人間だとかは関係ないから。
だからこそ 護衛はサクラに任せ、1人はユーリの元へと向かう決心をつけていたのだ。
「ユーリ。その御方は、我らのカラーの森の村ペンシルカウの創始者。《始祖ハンティ・カラー様》です」
黒髪のカラーの名前を告げたと同時に、ハンティの前に跪き、イージスは正式な作法で頭を下げた。
「……な、に?」
ユーリは、状況が掴みきれないようだ。
いきなり襲ってきた相手は、実は敵ではなく 先ほど助けたカラー達の祖と言える者らしい。
なら、なぜ突然攻撃を? と頭の中が混濁し、完全に理解する事が出来なかった。少なくとも直ぐに理解するのは無理だった。ユーリの身に包んでいる煉獄が、阻んでいたのかもしれない。
「お、お兄ちゃんっ! ひどいよっ、私に何も言わずに、1人で、たった1人で残るなんてっ! しんぱい、しんぱいしたんだからねっ!!」
ヒトミは、涙を浮かべながらユーリの胸の部分を両手でぽかぽかと叩いていた。そのヒトミの言葉が。胸に当たるヒトミの拳が、ユーリの身体に纏っていた煉獄を徐々に解いていく。
「あ、ああ。悪かった。状況が状況だったから何もいえなかったんだ」
ユーリは、剣を下へと落とすと、ヒトミの頭を撫でた。
正直な所、あの時は突然襲われた事、そして その相手が強大である事が重なり、早くカラー達を、ヒトミを逃がす事しか頭に無かったから。逃がそうとしていたヒトミに話す暇も無かったんだ。
「全く……お互いに勘違いをしてたって訳だ。でも、完全にこっちが悪い。……悪かった。いきなり攻撃して、アンタには礼を言わなきゃならない人だったのに」
ハンティは頭を下げた。
ユーリがヒトミと話をしている時に事の発端をイージスから聞いたようだ。捕まえていたのは軍の一部と言っていい。それも腐った一部だった。軍自体が動けば勘付く事が出来る。……だからこそ、何の関係の無い荒くれ者達を雇っていた様なのだ。
それを止めてくれた、……そして、仲間たちを守ってくれたのが、目の前の彼だった。
そして、彼が止めてくれてなかったら、どうなっていたか判らないだろう。
「いや……」
ユーリはとりあえず、完全に戦闘態勢を解いた。一度、完全に相手に向けた殺気を納めるのは難しかったが、どうやら本当に誤解らしい。攫われていたカラーである、イージスが敬意を持って頭を下げている所を見た事でも、納得できていたのだ。
「それにしてもさっ。あんた、強いね〜? 若い人間でそこまで強いヤツ、久
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