第2.5章 出会いと再会は唐突に
第35話 またいずれ……
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「わ、私達が気持ちよく抜き取って……」
「だから嫌だ!! っての!」
「お兄ちゃんやっぱり……」
「コラ! ヒトミ! やっぱりって何だ! オレはいっつも被害者じゃないか」
「あははっ! じょーだんだよっ!」
ヒトミはヒトミで、からかう様にして遊んでいた。随分とからかわれる事が多くなったユーリだった。
「なぁ、イージス?」
「はい、なんでしょう?始祖様」
「あんたの過去の事はあたしは良く知ってる。でも、人間にはそれだけじゃないって事、今日判ったんじゃないか?」
「……はい」
イージスは、一瞬だけ沈黙したが、直ぐに返事を返していた。彼女の姉妹は人間の手でクリスタルを抜かれて殺されたのだ。ハンティは彼女達を救う為に乗り込んだのだが……もう既に遅かったんだ。
「ま、彼女達が言うように村に迎えても良い人間って言うのは賛成だが、そこに留まるような器じゃないさ。アイツは」
「そうですね……。あれ程の技量を持つ人間は私は見た事がありません。見聞が浅いからなのかもしれませんが」
「ただの強さだけなら、ユーリ以上のヤツはまだまだいるって思う。アイツも更に強くなるから、一概には言えないけどね。でも、心までと言えればそうはいかないさ」
「……それも判ったつもりです」
「パステルにも伝えておいてよ。ま、あのコが簡単に信じるとは思えないけどな」
ハンティはそう言うとユーリの方へと向かった。ユーリは、ヒトミと話をしているようだ
「さて、これでお別れだな。こんな所までありがとな、ユーリ」
「ああ」
「そんな警戒するなって。流石に最後くらいは真面目に言うよ……本当にありがとう。ユーリ」
ハンティはユーリの背中を軽く抱きしめた。そして、あの声に語りかけるように……。
「あたしは……前に進む。これからも」
ハンティはそう言っていた。だが、ユーリには勿論なんの事かは判ってない。
「何の事を言ってるんだか……、ヘルマンの事を考えるのも前に進む事も良いって思う、だが、身内の事も注意しておいた方が良いぞ?どんな国でも膿は存在するものだからな」
「手厳しいね。勿論だ。判ってるよ」
ハンティは苦笑いをすると、表情を直ぐに元に戻した。
「……ユーリとはまた何処かで会う。そんな気がする。あたしはその時を楽しみにしてる」
「オレもだ。それに、伝説の黒髪のカラーに名を覚えられるのは光栄極まれりだな」
「思ってもない事を。伝説なんて一人歩きするもんさ」
「ま、ハンティを見てたら わかる気はするな」
「おー言ったな?」
「「はははは!」」
最後に2人はしっかりと握手を交わした。この瞬間から、彼女は友だ。
「あー、私もする〜! お兄ちゃんと、お姉ちゃんと一緒にする〜!」
「はいはい」
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