1部分:第一章
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第一章
頭を洗わないと
元也はとてもです。頭を洗うことが嫌いでした。
それでお父さんとお母さんにです。いつもこう言われていました。
「頭を洗わないと駄目だぞ」
「何で洗わないの?」
「だって頭洗ったらシャンプーが目に入って痛いから」
だから嫌だとです。元也はお父さんとお母さんに言います。
「それに頭濡れるの嫌だもん」
「それでも洗わないと汚いだろ」
「不潔なのよ、それは」
「それでも嫌なんだよ」
口を尖らせてです。元也はまた言いました。
「それに僕の頭は汚くないよ」
「どうしてそう言えるの?」
「だってお風呂は毎日入ってるから」
元也の口はさらに尖りました。
「だから汚くなんかないよ」
「いいや、汚いぞ」
お父さんが言いました。
「洗わないと何でも汚くなるんだ」
「毎日お風呂入ってるじゃない」
「それでも汚いんだ」
「それにね。頭を洗わないとね」
お父さんに続いてお母さんも注意するのでした。
「物凄く痒くなってフケだって出て来るわよ」
「フケ!?」
「頭から出る垢よ」
元也はお風呂自体は大好きなのです。いつも身体を洗って奇麗にしています。だから垢はです。とにかく嫌いで仕方ないのです。
だからです。元也はフケと聞いて顔を曇らせるのでした。
その元也にです。お父さんとお母さんはさらに言いました。
「わかったな。痒くなりたくないな」
「それにフケも出したくはないわね」
「うう、それは」
そう言われるとです。元也も嫌そうな顔になりました。けれどです。
頭はどうしても洗いたくなくてです。こう言うのでした。
「それでも嫌だよ、絶対に」
「頭を洗いたくないか」
「そう言うのね」
「僕頭は絶対に洗わないから」
意固地になっていました。言われて逆に。
それで、です。お父さんとお母さんに背を向けてです。その場を駆け去りました。
そうしてです。元也は髪の毛を絶対に洗おうとはしませんでした。それは何日も何日も続きました。
けれどそれが続いたある日のことです。元也は幼稚園でお友達に言われたのです。
「あれ、元也君髪に何かついてるよ」
「あっ、本当だ。何かついてる」
「何これこの白いの」
「何か汚い感じがするよ」
こうです。皆元也の髪の毛を見て言うのです。
そしてその中の一人の子がです。こんなことを言いました。
「これフケだよ」
「フケ?」
「フケって何?」
「頭を洗わないと出て来るんだって。とても汚いものだってお母さん言ってたよ」
こうお友達に話すのです。
「元也君の頭汚いんだね」
「えっ、元也君って汚いの?」
「不潔なの?」
皆彼の言葉を聞いて言うのでした。
「元也君
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