異国の大地 3
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が居るか、分かったものではありませんし。服もブーツも、バッグも水も全部、この国の商人から事前に買い求めておき、関所のはばかりで着替えてからこちらの土を踏みました。千里の道も心構えから。基本中の基本です。クロスツェルさん達も、少ない荷物で旅をされている辺り、大変素晴らしい!」
「はあ……ありがとうございます」
軽いほうが楽だから。
それだけの理由で、手に持っているのは黒い本を一冊。
加えて、ついさっき関所で買ったカンテラと地図のみ。
まさか、それを褒められるとは思わなかった。
「あ、見てください、クロスツェルさん! 村に着きましたよ!」
「そのようですね」
一晩歩き通した末。
木造の建物主体で構成されている、小さな村に無事辿り着いた。
見張りは居たが、村を囲む外壁が無い。
安全性に問題はないのだろうか?
研究員の皆さんは少しも疲れた様子を見せず。
今後の進行予定を立てる目的で宿を取る。
自分達も彼らの隣に部屋を借り、とりあえず食事しておく流れになった。
国境付近に構えているからか、この宿では自分達の言葉が通じるらしい。
想定通りではあるのだけど、この『想定通り』はとてもありがたい。
支払いや手続きに手間取る心配がないだけで、気分的にもかなり楽だ。
宿の女将さんに指定された部屋へ入る直前、
「マクバレン。私達、クロスツェルのほうに行きたい」
と、精霊達が揃って訴えたので。
衝撃を受けた研究員達がさめざめと泣き出してしまった。
「一ヶ月も一緒に居たのに!! やはり見た目か!? 乙女には見た目が重要なポイントなのか!? 綺麗じゃないお兄さんは嫌いなのですかーっ!」
などと廊下で総崩れされても、宿の方々に迷惑なのでは。
ベゼドラは我関せずを貫き、早速ベッドでごろ寝している。
「別にっ……! なんでもいいから、クロスツェルの部屋に行かせて!」
何かを強く要求されたのは初めてなのか。
彼らは一瞬きょとんとして……仕方なさそうに頷く。
「お願いします」
「はい」
マクバレンさんから精霊達を預かり、それぞれが部屋に入った途端。
壁の向こう側から、分かりやすい泣き声が聞こえてきた。
「…………ずっと、あの調子だったのですか?」
「そう。すっっごく鬱陶しいでしょう?」
「他の仕事中でも定期で様子を見に来たり、ちょっとしたことで喜んだり、泣き出したり。もう本当に、意味不明なの」
「なにそれ。監視?」
心底呆れた風な口調とは正反対に、ふたりの目元がうっすら笑う。
人間嫌いが収まっているわけではなさそうだが。
ここに来るまで、いろいろあったのだろう。
室内に設置されたサイドテーブルの上にカ
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