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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
外伝
外伝《絶剣の弟子》B
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、あの……」
「どうぞ。特に邪魔とも思いませんし、何かしていた訳でも無いですし」

 この有無を言わせない言いよう。最近はよくこの手の人に会うなぁと内心思いつつゆっくりと移動すると、そのシルフの女性の隣に座る……と言っても距離は30pばかり離れていたが。

「……先程PKと言ってましたが、貴方はこの時間まで1人で狩りを?」
「へ?あ、いえ……その、何となく飛びたくなって飛んでいたら突然……」
「なるほど。すると貴方を襲ったのはただPKに快感とスリルを味わいたいが為に動いているような人種ですね。たちが悪い」

 そう言われて俺もああ、と納得する。俺は装備的にもそこまで美味しい獲物ではない。スリルを与えられる程強くは無いが、ただPKを楽しみたいのなら、格好の的だろう。
 そして沈黙が流れる。いや別に知り合いという訳でもなく、そもそも互いの名前すら知らない訳で、ただここに居合わせただけの間柄だ。無理に話す必要は無い……多分。
 ふと空を見上げた。雲はかかっておらず、星空が視界一杯に広がっている。胸の奥底に溜まっていた醜悪な何かが少しずつ溶けて、消えていくような気がした。

「……さて、夜も更けて来ました。私は失礼します」
「は、はい。その……ありがとうございました」
「?お礼を言われるようなことは何も……」
「え、あ……そ、そうですね……」

 ……どうにも調子が悪い。けど、彼女がここで一休みするように言ってくれなければこんなにも気持ちが軽くなることは無かった。

「でも……私のした何かが貴方の助けとなったのなら、それは良かったです」
「……はい。説明するのは、少し難しいんですけど、嫌なことがあって、その気分転換になったから……ありがとうございました」

 シルフのその女性はそれに微笑んで応えると、翅を広げて宙に浮かんだ。

「そう言えば、名乗っていませんでしたね。私はセラ、と言います。普段はシルフ領に居るので、貴方がもし寄ることがあったら、また会いましょう」
「あ、はい。俺はーーーー」
「それでは、また。()()()()()
「え……??」

 直後、空気が破裂したような音がし、風圧に押されて2,3歩後ずさる。とっさに庇った顔の前から腕を退けると彼女ーーーセラさんは何処にも居なかった。

「名前、どうして……」

 カーソルをアバターに合わせてもフレンドでない限りその名前が表示されることは無い。無論、それを看破するスキルも魔法も存在しないのだ。
 このゲームに精通しているプレイヤーならあるいは……とも一瞬考えたが、そもそもそれは《ザ・シード》の共通規格という話だった。そんな方法があれば、他のゲームでも話題になり、何らかの対策がされるはずだった。

「……考え
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