外伝
外伝《絶剣の弟子》B
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て行き、やがてイグドラシル・シティも世界樹の一角に過ぎない大きさとなって行く。
上昇しつつ下を見下ろすと、アルヴヘイム中央都市、アルンの夜景が目に入った。鮮やかな灯に彩られた街には活気が溢れ、人々の声がこの高度まで聞こえて来るようだ。それより大きなアルヴヘイムの地上、そして空。とてもゲームとは思えない巨大な世界。ついにアルンを囲む山脈の高度を越える。その向こうの都市や各種族の領土まで見ることが出来るのではないか。そんな期待を胸に天高く上昇を続ける。
しかしそれは叶わなかった。頭上に広がる巨大な影が上昇を阻んだからだ。
「……な、なに??」
反射的に剣に手をかけて身構える。対峙したのは空をも覆う巨大な影。ごつい岩肌と石材か鉄材で縁取られた滑らかな輪郭。圧倒的な存在感を前に見えない力がライトを押すように後ろへ体を退けさせた。
目の前にあるのはモンスターではなく巨大な浮遊するオブジェクト。確か、あれは…………
「アイン、クラッド……!」
鋼鉄の城。アルヴヘイム上空に浮かぶ、浮遊城。かつてのデスゲームの舞台であり、今はアルヴヘイムの中立フィールドの1つ。
遠目にしか見たことが無かっ為にその大きさを甘く見ていた。……考えてみれば、元は1万人ものプレイヤーを飲み込んだ牢獄だったのだ。それくらいの大きさはあるのだろう。
聞くところによれば、フィールドには様々なレベル帯の敵が混在していて、迷宮区には一段手強い敵がいるらしい。
「……止めておこう」
好奇心が無いと言えば嘘になるが、未知のエリアにソロで行くのは躊躇われたし、何より今はそれどころでは無い。アインクラッドに背を向けて、適当に翔び回ろうと体の向きを変えた時、前方で光が一瞬瞬いた。
「え……っ??」
それは反射的な行動だった。左に身を引きながら仰け反って行く。胸のすぐ上を飛翔していった火炎弾を見送りつつ半回転して立ち直った。
次に知覚したのは重い羽音と武器が抜き放たれる金属音、そしてインプの暗視スキルには近づいてくるものの正体がはっきりと映った。
「っ、PK!」
付近にはモンスターも居ない。誤射という可能性は皆無の中でのこの展開。もはや疑いようはなかった。
「くっ……」
真下はイグドラシル・シティか、もしくはアルン。中立エリアで攻撃禁止区域では無いが、大衆の前で1人を囲ってリンチするのは場が白ける迷惑行為だ。まさかそこまでは追っては来ないはずだ。
俺を落とそうとする火球が一定の間隔で降ってくるのを右へ左へとかわすが、そのせいで段々と羽音が近づいて来る。このままでは追いつかれ、殺されてしまうだろう。死亡罰則はまだ軽いとはいえ、積極的に受けたくは無い。
「いや、違う……ッ!」
翅
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