第158話 蔡瑁討伐前哨戦
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伊斗香を蔡子真の首を切り落とした。童昭欣は両目を見開き呆然とした表情で地面に転がる娘の頭を凝視した。次の瞬間、童昭欣は狂ったような声を上げると正宗を憎悪に満ちた両目で睨みつけた。夜叉の如き表情だった。
「鬼っ!」
童昭欣は腹の底からひねり出すような低い声で正宗に叫んだ。正宗は彼女の表情から一瞬も目を逸らさず正視していた。紫苑は彼女の表情を見れず終始逸らしていた。
「殺れ」
正宗は童昭欣を凝視したまま短く言った。伊斗香は正宗の命令を受けて童昭欣の首を切り落とした。胴と切り離された頭が地面を転がる。その頭は静止すると上を仰ぐように正宗を睨んでいた。正宗はしばし自らを睨む童昭欣の頭を凝視していた。
「首は街道に晒し、身体は野に捨てよ」
正宗はそう言い立ち上がるとそれ以上何も言わずに陣地を去って行った。その後ろ姿は何処か哀しさを感じさせるものだった。
翌日、村長である蔡孝伝と家族達三人の首が街道に晒された。その知らせは隣県の襄陽城に籠る蔡瑁の元にも届けられるのだった。蔡瑁は怒りに震えるが正宗と一戦交えるために軍を動かすことはなく襄陽城に篭っていた。
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