第158話 蔡瑁討伐前哨戦
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線を向けていた。
「蔡徳珪は朝敵となっております。蔡孝伝殿、あなたの考えは通りません。身内から朝敵を出した以上、族滅は必定です」
「煩いぞ貴様! 以前もお前は車騎将軍に兵もしくは兵糧を献上しろと指図をしおって! 何故私がそんなことをしなければならんのだ」
荀爽に厳しく言われた蔡孝伝は彼女に罵声を浴びせた。蔡孝伝と彼女のやり取りからやはり彼女は蔡一族に接触を持っていたのだろう。しかし、それは徒労に終わったようだが。荀爽は蔡孝伝との関係を知られ罰が悪そうな様子だったが、彼女としてもここで暴露していた方がいいと考え蔡孝伝に声をかけたのかもしれない。
「蔡孝伝、言いたいことはそれだけか?」
正宗は無表情で冷たく言った。蔡孝伝を見る荀爽も既に諦めた表情だった。しかし、蔡孝伝の妻と娘のことを不憫に思っているのか同情の視線を送っていた。
「言い足りませんな。この服を見てくだされ。上等な私の服がお点前の兵達のおかげ泥で汚れております。どうしてくれるのです!」
蔡孝伝は正宗に愚痴を言いはじめた。伊斗香と朱里と桂花は蔡孝伝のことを侮蔑した視線を送っていた。
ここに至っても蔡孝伝は自分が誅殺される可能性を考えることができないようだ。
正宗は徐に立ち上がると腰の剣に手をかけ態勢を低く構え蔡孝伝の首を左から右に一線した。彼の剣筋は目にも止まらない速さであったため一瞬何が起きたか分からなかった。
蔡孝伝は愚痴を言い終わることなく首と胴が切り離された。
彼の頭は転がり彼の嫁・童昭欣の目の前に転がる。その頭を視線に捉えた彼女は狂ったように悲鳴をあげる。それに釣られ蔡子真も泣きわめく。荀爽は気持ち悪そうに蔡孝伝の首を眺めるが直ぐに視線を逸らした。
「母娘を処刑しろ」
正宗が言うと伊斗香は立ち上がり正宗に対して拱手し剣を抜刀した。
「車騎将軍、私はどうなっても構いません! 何でもいたします! どうか娘の命だけはお助けください!」
童昭欣は兵士達に押さえつけられながら顔を上げ必死な表情で正宗に訴えた。
「娘はまだ六歳。分別もありません。どうか娘の命だけはお助けください!」
童昭欣の必死の嘆願に紫苑は悲痛な表情を浮かべ視線を逸らした。
「黄漢升様、お願いします。あなたも娘がおありのはず。私達母娘のことを憐れと思われるなら車騎将軍にお口添えくださいませ! どうか。どうか。お願いいたします」
童昭欣は紫苑の存在に気づくと自由に動かない体で頭を地面に擦り付けて紫苑に頼み込んできた。
「伊斗香、蔡子真を先に殺せ。苦しまぬように楽に殺してやれ」
正宗は残酷な言葉を放ったが、紫苑は何も言えずにいた。童昭欣は先ほどまで正宗を恐れていた素振りから一転して必死に暴れた。しかし、無情にも
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