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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第158話 蔡瑁討伐前哨戦
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らせて大声で叫び声を上げ三名を罵った。秋佳に至っては椅子に座っているが中年男の剣幕に恐怖を感じ腰が引けている様子だった。伊斗香は中年男を小馬鹿した表情で見つめていたが、紫苑は中年女と少女を悲痛そうな表情で見つめていた。紫苑は正宗に恩赦を与えられれねば、目の前の母娘と同じ運命を歩むことになっていただけに自分と娘の璃々のこと重ねているだろう。

「秋佳! 貴様、蔡一族の縁戚として遇してきた恩も忘れおって! この恩知らずが。殺してやる!」

 中年男は狂ったように秋佳に飛びかからんと暴れるが兵士達に押さえつけられた。正宗は二人のやり取りから顔見知りであると察したのか秋佳の方を向いた。

「秋佳、この男の名を教えろ」
「蔡孝伝殿にございます。その横の女性が童昭欣殿。一番左が蔡孝伝殿の息女・蔡子真です」

 秋佳は蔡孝伝に対しておどおどしながら正宗に説明した。正宗は蔡孝伝を抑える兵達に視線で合図し拘束を解かせた。
 蔡孝伝は兵達に愚痴を言い秋佳を睨んでいたが、伊斗香が蔡孝伝に声をかけた。

「蔡孝伝、正宗様の檄文を何故無視した?」

 伊斗香は冷徹な表情な蔡孝伝に厳しい口調で詰問した。荀爽は蔡孝伝を沈黙し凝視していた。しかし、その表情は蔡孝伝が何と答えるか理解しているように見えた。
 蔡孝伝は伊斗香の自分への口調に不満があるようだったが憮然とした素振りをしながらも口を開いた。

「我ら蔡一族は中央の官吏に力を貸して荊州統治に協力してきた。瑁が車騎将軍を襲撃したことと私に何の関係がある! 瑁を殺すなら勝手にしろ。この私の知ったことではない」

 蔡孝伝は伊斗香を睨みつけて自らの言い分を言い終わると、視線を正宗に向けた。その両目は怒りを帯びていたが、正宗が朝廷の重臣であると理解しているのか態度だけは殊勝にしていた。

「此度のことあんまりではござらんか! 長年朝廷のために荊州統治に尽力してきた我らへの仕打ちあんまりでございます。瑁を殺したいのなら勝手に殺せばないいではありませんか? 何故関係ない我らまで罪を問いなされるのだ。我らは蔡一族なのですぞ」

 正宗は黙って蔡孝伝の話を聞いていた。蔡孝伝は蔡一族である自分達を特別扱いしろと言っているのだ。正宗の表情が次第に険しくなっていった。その表情の変化にも気付かず蔡孝伝は言葉を続けた。

「何故我ら蔡一族がそこらの豪族のようにわざわざ兵糧を出さねばならないのです。我らは静観するつもりでした。それで十分ではありませんか? それがどうでしょうか? 静観していたにも関わらず、大軍を率いて村を襲撃するとは朝廷の重臣とはいえ横暴すぎますぞ! 朝廷へは此度のこと抗議させていただきます」

 蔡孝伝は正宗が自分に行ったことへの不満を表していた。荀爽は蔡孝伝のことを困った人間を見るような視
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