2部分:第二章
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第二章
その竜太がです。この虫のことを言ってきたのです。
「それとは別にさ」
「水の中にいる。カマキリに似た奴だよな」
「それも知ってるんだな」
「タイコウチにマツモムシもな」
そうした水の中の虫のこともです。健太は知っていました。
「知ってるよ。水蜘蛛だって見たことあるさ」
「おいおい、あれ滅多に見られないだろ」
「けれどタガメは見たことがないぜ」
その虫はないというのです。
「他は見たことあるけれどな」
「っていうともうあそこに行ったことあるんだな」
「泉だよな」
「ああ、山の中のあの泉な」
そこだとです。竜太は健太に答えます。
「あそこだよな」
「あの泉水がかなり奇麗だからな」
そうした虫もいるというのです。ミズカマキリやタイコウチはとても奇麗な水の中でしかいないのです。
「だからいるんだけれどな」
「で、今日はそこに行こうってんだな」
「ああ、どうだよ」
竜太はこう健太に提案します。二人はまだ学校にいます。
「そうしないか?」
「じゃあそこに行こうか。俺最近あの泉に行ってないからな」
「よし、それじゃあな」
こうしてです。二人はこの日は泉で水の中の虫を捕ることにしました。山の中にあるその泉は平坦な中にあってまるで畑みたいに緑の中に細長い水の列が幾つも並んでいます。
その泉は浅く手を入れても肘までありません。それが幾つも連なっているのです。
その泉の傍に来てです。健太は竜太に言いました。
「わかってると思うけれどマツモムシには気をつけろよ」
「ああ、あれに刺されたら痛いからな」
「他は怖くないんだよ」
水の虫はというのです。
「アメンボだってミズスマシだってな」
「特に怖くはないよな」
「マツモムシだけには注意してな」
「捕ってくか」
「ああ、そうしような」
健太は既にバケツを持って来ています。今日は虫捕りの網は持っていません。それは竜太も同じです。そうして夏の日差しの下で、です。
二人は虫を捕っていきます。そしてです。
健太はふと泉の傍を見ました。そこには畑がありました。
畑には茄子やトマトがあります。そういったものが栽培されています。
その畑にです。お百姓さんがいました。そのお百姓さんがです。
二人に気付いてです。こう言ってきました。
「おおい、御前さん達虫を捕ってるのかい?」
「うん、そうだよ」
「そうしてるんだよ」
二人は顔をあげて明るい声でお百姓さんに答えます。
「ミズカマキリ捕ってるんだ」
「タイコウチもね」
「そうかい。タガメはいるかい?」
お百姓さんは二人にタガメのことを尋ねてきました。
「それはいるかい?」
「ううん、タガメはいないよ」
「それも探してるんだけれどね」
「そうだろうな
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