第2.5章 出会いと再会は唐突に
第34話 赤と青の輝き
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「あははっ! あ、なら私もお兄ちゃんの恋人候補のひとりに……“ぺしっ”あうっ」
ヒトミがそう言い切る前にユーリがデコピンをヒトミに喰らわせた。
「マセ過ぎだ。まだ早い」
「ぶ〜」
ヒトミは頬を膨らませていたが……、直ぐに笑顔に戻っていた。ユーリと手を繋ぎ、そして開いた方の手で帽子や服をずっと触っていた。本当に嬉しかったのだろう。プレゼントしがいがあると言うものだった。
そして、うしバスを経由しボルゴZへと到着した。
ここから南の山道を越えれば、自由都市までもうほんの少しだ。ユーリ自身は全然問題ないのだが、ユーリはヒトミの事が心配だった。
「大丈夫か? これから山道だが……、少しここで休んでいくか」
「ん? あはは、お兄ちゃん何か気にしてる、って思ってたけど やっぱり私の事、考えてくれてたんだ?」
「そりゃそうだろう。これから険しくなっていくんだ。まぁ、向こう側につけば気候もこっちよりは遥かに落ち着いているが」
「あははは、お兄ちゃん。私、女の子モンスターだって事、忘れてない? これくらい大丈夫だよ! 私強いもん!」
握りこぶしを作る仕草をしているヒトミ。
ユーリは、正直、ヒトミの言う通り、彼女が女の子モンスターだって言う事を忘れてしまっていたのだ。
「そう……だったな。はは、そうだ。体力は常人に引けを取らないか」
「でも、嬉しいよ!」
「そっか。よし、ならさっさと山を越えるか?」
「うんっ! お兄ちゃんのお家に早く行ってみたいっ」
「そんなに期待してもらってアレだが、大した事無いんだぞ? 普通の家だ」
「お兄ちゃんと一緒なら何処だって良いんだ!」
「はいはい」
ユーリは手を伸ばしてきたヒトミの手を握って答えた。傍からみたら、本当の兄妹の様に見えてきた。それ程自然に手を結べていたのだから。
そのまま、2人は山道へと入っていき一先ずリッチの町を目指していった。
そして、その道中の事。
「ん……?」
決して広いわけではないが、それなりの幅はある山道。その道、いっぱいにうし車がいたのだ。ほんの少し、ずれてしまえば崖下に真っ逆さま。危険な山道だからこそ、うしバスや車を使わないように徒歩で帰っていたのだ。
「こんな道に何とまぁ……ま、多分慣れているからこそ出きる事だろうがな」
風貌からして、ヘルマンの軍人だろう。
うしの方が小さく見える程に大きな男が手綱を引いているのだ。そして、そのうし車を先導していた男が、うし車を残し、こちらへとやってきた。
「悪いな。お前さん達。当たらないように気をつけてくれよ。ここに落ちちまったら助からねえからな?」
「判ってる。それにしても随分と多い荷物を運ん
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