第2.5章 出会いと再会は唐突に
第34話 赤と青の輝き
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は、マルグリッド迷宮で手に入れた宝箱の中から、装備品が出てきたため、それを取り出した。
運がよく≪サイズS≫の服が入っていたのだ。
体格が大きくなく、子供用の装備らしくヒトミでも着る事が出来るだろう。ヒトミの装備……、と言うか下着だがそれでは、少し攻撃が当たっただけでも大変だ。基本的にモンスターが別の服を着ている事は滅多に無い。人間が故意的に着させない限りは無いと言っていいだろう。
「ほら、これを着な。もし見つかった場合、危険は少ない方が良いだろう?」
「え? お兄ちゃん、良いのっ? それって、お兄ちゃんが、がんばって手に入れたものなのに……」
「大丈夫だ。これはサイズだって小さいし、ヒトミにぴったりだろう? オレからのプレゼント、って思ってくれ」
「わぁ! 嬉しいっ! ありがとうお兄ちゃん!」
渡された服を胸に抱くヒトミ。
本当に嬉しいのだろう。その目には涙さえ浮かんでいるようだった。
「それと次はコレだ」
「え? わっ!」
頭にすっぽりとかぶらされたのは緑色の三角帽子。
「その大きな耳一応隠さないとな? 窮屈だと思うが、我慢してくれ。家に帰ったら外してもいいから」
「わぁ、わわっ! そんな事無いっ! これ、可愛いよっ! 私の髪と同じ色っ!」
帽子の鍔元を手でつかみ、くるくると回るヒトミ。
少し明るい緑の色の帽子。これも偶々宝箱から出てきた装備の一つだ。これも《運》が良かったからからだろうか?
「お兄ちゃん、ほんとにありがとうっ!」
ヒトミは、くるりと回った後、ユーリに向きなおして改めて礼を言っていた。
「喜んでくれたのなら、良かったよ。有り合わせになってしまったが、また何かを買いに行こうな」
「うんっ! あ……、お兄ちゃん、ちょっと屈んで!」
「ん? どうした?」
ユーリは屈んでヒトミの視線の高さにあわせていた。ヒトミはニコリと笑うと。
「お兄ちゃん、横、横だよ! あっち向いてみてっ!」
「ん?? 何があるんだ??」
ユーリは笑顔で右側を指しているヒトミの指示に従って、そちらの方向を見た。別に何かがあるわけでもなく、ただ荒野が続いている風景だけだった。何かあるのか?と再びヒトミに聞こうとしたその時。僅かな息が頬に吹きかかったかと思ったその時、柔らかな感触もあった。
ちゅっ……という音を立てて……。
「えへへ……、お礼、だよっ……//」
ヒトミは頬を赤く染めながらニコリと笑っていた。ユーリは突然の事だったから、少し驚いていたが 直ぐに笑顔になる。
「はは、高い代金を貰ったよ。そのくらいのプレゼントでこれはな」
ユーリはそう言って頭を掻いていた。妹からのお礼だから。きちんと受け取っておくべきだろう。
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