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第一章
ジガバチ
健太はいつも山や野原で遊んでいます。学校が終われば家に帰ってランドセルを置いてすぐにです。虫取りの網や籠を持って飛び出て行きます。
そしてお友達と一緒に虫を捕って遊びます。その中で、です。
お友達がです。健太にこんなことを言ってきました。
「健太、ジガバチって知ってるか?」
「ジガバチ?」
「ああ、その蜂知ってるか?」
「あれだろ?普通の蜂の巣を作るんじゃなくて」
健太はジガバチを知っていました。伊達にいつも虫を捕っている訳ではありません。
それで、です。こうそのお友達に言うのでした。
「地面に穴を掘って巣を作る」
「そうだよ、その蜂だよ」
「その蜂がどうしたんだよ」
野原虫取り網を手にして蝶々を狙いながらです。健太は一緒にいるお友達に尋ねます。
「何かあるのかよ」
「何かあるから言うんだよ」
「何かって?」
「いや、ジガバチって穴を掘って巣にするからな」
その地面にです。
「若しも人の手とかに穴を掘って暮らしたらな」
「怖いっていうのかよ」
「そうだよ。それって怖いだろ」
「おい、そんなこと言うなよな」
健太はお友達の言葉を聞いてです。顔を顰めさせて返しました。
「気持ち悪いな、何なんだよ」
「やっぱり気持ち悪いか」
「蜂が手に巣を作るんだよな」
「ああ、そうだよ」
「それで出入りするってどんなに気持ち悪いんだよ」
健太は蝶々、見事なカラスアゲハを見ながらお友達にまた言います。
「しかも巣を作るって思うとな」
「痛いよな、蜂に穴掘られるのって」
「だから余計に気持ち悪いだろ。怖いっての」
「やっぱりそうか」
「大体俺蜂は嫌いなんだよ」
「刺すからか?」
「一度クマンバチに刺されてな」
とてもよくあることです。虫を捕っているのなら。
「刺された左手の甲が凄い腫れてな」
「ああ、クマンバチって毒強いからな」
「えらい目に逢ったんだよ。だからな」
「蜂は嫌いなんだね」
「大嫌いだよ」
ただ嫌いではなくです。そうだというのです。
「二度と刺されたくないよ。どの蜂にもな」
「じゃあ蜂が出たらか」
「逃げるからな」
そうするとです。健太は怒った様な顔でまた言いました。
「絶対にな。そうするからな」
「本当に蜂嫌いなんだな」
「だからそんな話するなよ」
とにかくこう言う健太でした。そして実際にです。
カラスアゲハがクローバーの赤い小さな花に止まっているそこにミツバチが来るとです。健太は顔を顰めさせてそのうえで。その場をそそくさと去りながらお友達に言いました。
「場所変えようか」
「ミツバチは大人しいだろ」
「大人しくても蜂は蜂だろ」
だからだというのです。
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