三節・会議の場にて男は告げる
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が落ちだからだ。
キバオウ自身にコミュニケーションスキルが存在するかどうかは定かではない。
だが少なくとも今だけは、まともな反論材料をこれでもかと用意しない限り、どうにもならないだろう。
「クハハハハ、確かにそりゃ一理ある! 尖ったにーちゃんの言ってる事も、間違いじゃあ無いわな!」
いきなり高らかに上がった笑い声の方を向いたキー坊(仮称)を含める全員の、本当に全員の表情が驚愕の色宿したまま固まった。
何せキリトが迷宮区で出会い、フード姿の女性プレイヤーが連れ出され、キバオウすら目を見開いた、刺青半裸の長身男だったのだから。
「おっとと、話しするんならまず名乗らんと駄目だったわな。オレちゃんは “グザ” 。ま、テケトーに覚えてくれればいい人物よ」
言いながら広場中央近くまで歩み寄る。
アンタの容姿や雰囲気は適当に覚えられるモノじゃあないと、何人かの眼から抗議の色が浮かんだが、刺青半裸の男・グザは気にしてすらいない。
一応の礼儀を通す為なのか、パイプを一旦口から話して右手の指で挟み持つ。
「それで、だ。尖ったにーちゃん」
「キバオウや! さっき名乗ったやろがい!」
「ああ、そうだった……キバオウさん、アンタの言うことも一理ある、ベータテスターが見捨てなければ、生き残っていたプレイヤーは仰山居たかも知れない。まあ、そう思っても不思議じゃないわな」
そうだろうそうだろう、と少々得意げな顔になるキバオウだが、対するグザは単なる(と言っていいのかどうかは疑問だが)ニヤニヤした笑みから、少々黒い物の混じった怖い笑みに表情を変えた。
「が、奴らばっか悪い訳でもないのよ、これがねぇ……ほれ」
そう言って腰のポーチから取り出されたのは、パンフレットの様な薄い本だった。
背面には「大丈夫、アルゴの攻略本だよ」と何処かで聞いた様な文句が張りつけてあり、中身は攻略に関する情報がびっしりと乗っている。
それ自体は知っているのか、キバオウも驚くこと無く見ている。
「これ、知ってるだろ? 村やら各所の店で無料配布していたパンフレットよ」
グザの発言に、キー坊(仮称)と思わしき人物の驚愕の声が僅かに聞こえたが、追及する者はいなかった。
……無料と言う単語に反応した当たり、何かしら吹っ掛けられた可能性があるが、それは彼のみぞ知る事だ。
「パンフレットならワイも貰ろたで。それが何や」
「このパンフレットには明らかに、攻略の済んでいない未開のフィールドの情報が載っていたわな。まあ微妙に差異はあるのよ? でも “先に見ていなければ” 解らない様な物が多かったやね」
「……! まさか……」
「そういうこ
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