三節・会議の場にて男は告げる
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なの喧騒に包まれていたが、それが過ぎてからでもまだアイテムやコル、情報を提供する事は出来た筈なのだ。
ベータテスターを逆恨みする者が居るかもしれないと、そこから怯えて手が出なかった可能性もあるが、そこはただのプレイヤーを装うなり、嘘で取り繕うなりすればいいだけの話。
寧ろ何もしないで放置すれば、軋轢はより深くなってしまう。
此処で声を上げた、キバオウとベータテスターの様に。
「奴等は情報やアイテムを溜めこみ、怖い程ごっつ早いスタートダッシュで街から消えおった。しかもその後何も行動起こさず、ずーっと知らんぷり決め込みおる。
せやかて奴等も大事な戦力や。全部はなんざ言わんが、けど今までの惨状に納得はいかん……だからコルとアイテムを半分以上吐きださせて、頭下げさせん事には命を預けるのも、預かるのも無理や言うとるんや!」
一見すると、自身なりに最大限譲歩して、しかし感情を抑えきれず発言しただけ、にも思える。
が、自分は不幸なのだから、幸運を僅かに掴みとった奴等も巻き込んで、一緒に不幸になってしまえ―――今のキバオウからは、言葉全部に含まれていた訳ではないが、確かにそういう意図も読み取れた。
穴だらけではあり、大袈裟だが間違っている訳でもない。
そんな中途半端な論理ならば、彼は自身の黒い感情を隠せるかと考えているのでは……と、疑念を抱く者もいた。
流石にそこまで先を読み、キバオウが発言しているとは思えないが、結果そうなっているのは事実なのだ。
また、ベータテスターは先に進んでばかりで後の事を気にしておらず、MMOだと言うのに己の強化優先で、周りを増強する意思が薄く見えた、と言うのも今回キバオウが怒鳴り声を上げた一旦であろうか。
普通のMMORPGであれば咎めなどしないが、今は命を失うデスゲーム。
己の強化も勿論捨ておける場所ではないが、一人では予想外の事態に対し、絶対的に動きが鈍るという欠点もある。
珍しく、レベルが低くともソロプレイがテクニックさえあればできる、この近接特化のSAOだからこそ、経験者やテスターが油断して進み二千人も死者が出た、と言う裏があるのかもしれない。
デスゲームなのに通常のMMOと同様に行動してどうするのか、ならば進む為の力を後の者に分け与えればよいのではないか、そう考えても不思議ではない。
尤も、二度も言うがキバオウはそこまで考えて行っている訳ではないだろう。それでも、察しの良いプレイヤーでもその事実を頭に思い浮かべる限り、明確な反論が出来ない。
不用意に立ち上がって発言しようものなら、キバオウに噛みつくが如く糾弾され、対人コミュニケーションのスキルが無い者達では、まず言い包められるか吊し上げられるの
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