三節・会議の場にて男は告げる
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振り向いた。
「先日、俺達のパーティーが最上階へと続く扉を発見した! その時はアイテムの関係で攻め込めなかったけど……ならば出来るだけ危険を少なくして効率良く進もうと打診し、結果集まって貰ったんだ! もちろん……ボス攻略も兼ねて!」
この人数で挑む事を計算に入れれば、確かに遅くとも明後日にはボス部屋が発見されるかもしれない……それが分かっているからか、ざわめきはより一層大きくなる。
「今日まで一か月……一か月もかかった! けれど、だからこそ俺達はこの層を踏破し、そして証明しないといけない! このゲームはクリア可能なんだって、希望はまだ繋がっているんだって! そうだろ皆!」
否定する要素の無い、実に立派な演説。
この場に集まっている者達が、全員が全員《自己犠牲精神》の下に集まっている訳ではないが、それでも拍手せざるを得ない程に、賛同すべき意見だった。
キー坊(仮称)もまた歓声を聞きながら、拍手の一つでも送るべきかと手を叩こうとした……その時だった。
「ちょお待ってんか! ナイトはん!」
ディアベルとは正反対とも言える低く通りの悪い声が響く。
人が気が割れそこから現れたのは、茶髪をサボテンの様なトゲトゲしたヘアースタイルへカスタマイズした、小柄ながら割とガッチリとして体格を持つ人物だった。
背負っている剣はキー坊(仮称)やディアベルと同じく、しかし彼等のモノよりは大振りな片手直剣。
彼もまた片手剣使いらしかった。
「攻略会議が本格的に始まる前に、これだけは言わして貰わんと気が済まん。ええか?」
「意見があるなら大歓迎だけど、まずは名前を名乗ってほしいかな?」
「む……まあ、そやな。ワイは “キバオウ” ってもんや」
中々に勇猛なアバターネームを持つサボテン頭の男・キバオウは、名乗り上げてからニ、三歩前へ進み出て、鋭く光る眼で広場中のプレイヤーを睥睨し―――途中で恐らくあの『刺青半裸の男』と目があったのか表情が若干崩れるが、時間を掛けて全プレイヤーを見渡す。
終わってから数秒と経たず、キバオウは先よりもドスを聞かせた声を発した。
「こん中に五、六人……下手すれば十人。詫びぃ入れなアカン奴が居る筈やで」
「詫びを? 誰が、誰にだい?」
「決まっとるやろ! 『ベータテスター』が今まで死んでいった『二千人』にや! 奴等が知らんぷり決め込みおるから、こんだけの数消えてもうたんやろが!」
スケイルメイルをじゃらリと鳴らし、キバオウは叫びにもにた響きを持つ声で、ディアベルに顔は向けて居れど、ソレそのものは誰にともなく言葉をぶつける。
デスゲーム開始約一瞬間こそ『始まりの街』は大混乱且つ悲壮
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