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SAO ??TS少女のデスゲーム攻略
第3話
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わりを告げた。

「……キリト?」

フードの奥の何も見えない、何があるかわからない場所から発せられた、聞き取ることがやっとの小さな声。その、少年が知っている声よりもずっと高かった声を聞き、今度は自分が()()()()()()感覚に陥った。

キリト。それは、このゲームでの少年のプレイヤーネーム。いわば少年のこの世界での名前。
ハヤトに言わせれば、ただ周りの人と自分を区別をするためのもの。確かにそうかもしれない。だが少年にとってこの名前は大事なものだった。この世界で彼に呼ばれることに、大きな意味があった。

少年??キリトは今の黒の言葉で確信した。知っている声とは全然違っても、顔どころか肌の一部分さえ見えなくても、目の前にいるのは間違いなくハヤトだ。両親や妹と同じくらい会いたかった彼が今、目の前にいる。これでもう孤独を感じない。もう自分は大丈夫だ。そう思った。少年は久しく幸福感に包まれた。

だけどどうして。どうして目の前の親友は、ハヤトは、その身を震わせているのだ。どうして後すざりをする。どうして俺から距離を取る。どうして。

そこでふと、キリトは、彼の全身を覆い隠した姿に疑問を持った。

「ハヤト!」

キリトは少し語調を強めてハヤトの名を呼んだ。彼はまたその肩ををびくっと跳ねさせて、動きを止めた。彼に近づこうと、一歩踏み出す。それを見た彼はぱっとキリトに背を向け、呼び止める間もなく颯爽と走り去ってしまった。

「あっ、おいっ!」

キリトはその後ろ姿を追いかけたが、遅かった。暗めの服装もあってか瞬く間に森に溶け込んでしまったのだ。キリトは暫く、その方向を呆然と見つめていた。

「……なんだよ!」

折角会えたのに、どうしてハヤトは逃げるんだ。そのときキリトが感じたのは、大きな疑問と、わずかな怒り、そしてやっぱり疑問。自分はハヤトに嫌われるようなことをしただろうか。その可能性を考えて恐怖したが、すぐに、それはないと考え直す。俺たちは最後、笑顔で別れたのだ。再会を約束して。それ以来彼と会っていないのだから、嫌われようがない。となると、もしかしたら問題は、ハヤトの方にあるのかもしれない。

それを考えるとまず思い浮かぶのは、ハヤトのあの奇妙な格好。ハヤトはあまり、服装に気を使わないタイプのプレイヤーだ。βテスト時代に彼が装備していたのは、いつもシンプルな、悪く言えば地味目なデザインのものだった。まあ、アバターの顔がいいから、何を着ても似合うのだが。それに、あのボロローブも、刺繍など一切入っていない、本当にただのローブだった。それはまるで、姿を隠すことだけを目的としているような。

そういえば、先程のハヤトの様子を思い出す。あの時のハヤトは、怯えているようだった。もし
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