第3話
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の違いは何だ。恋人と妻の違いは何だ。俺とお前の違いは何だ。いつもそんなことを考えていた。少年にとって世界はいつも平面だった。眼球に絵を貼り付けられただけのものだった。自分と他人は同じだった。
そんな少年が、友達を作らず1人になるのは必然的だった。
寂しいと感じた。だが、自分から友人を作ろうとは思わなかった。
俺にとって、1人は普通。孤独は当たり前。そう思っていた。少なくとも彼と出会うまではそう思っていたのだ。
縮れ気味の髪の毛。童顔で、端正な顔立ち。まるでいたずらを思いついた小さな子供のような無邪気さを感じさせる吊り目。
彼の特徴、あくまでアバターであるが、それや仕草を思い出しただけなのに、熱いものが込み上げてくるのを感じた。
彼と出会ったのは仮想世界、即ちネットの世界だった。そこでは誰も本名を明かさず、当然年齢や住所も明かさない。姿だって、アバターという仮面を被っている。そんな、言ってしまえば嘘まみれの世界だが、少年にとってはそんな世界がとても心地良かった。彼と親友と言ってもいい関係になれたのは、そういった環境のおかげかも知れない。
彼と過ごした時間はほんの僅かであったが、人生の中で一番楽しかった日々と言っても過言ではなかった。大袈裟ではなく。色々知った。新鮮な発見もたくさんあった。一緒に過ごしているうちに、彼の性格や癖も、いつの間にか覚えていたりもした。それは少年にとって、まるでRPGのゲームをプレイしている気分になった。プレイヤーは自分、登場キャラクターに彼。最初は何も知らない。本来の顔も名前も。つまり表面が全く存在しない、そこからのスタート。一緒に過ごせば過ごす程、彼の色々なことを知る。自分の中での彼の存在が大きくなっていく。即ち彼のレベルが上がっていく。少年は気付かぬうちにそれが楽しいと思う様になっていた。
そしてある時、少年は気がつく。俺は彼の事を自分の人生の登場人物程度に考えているのではないかと。
友達など今まで居たことなどなかった少年は、どうすればいいのかわからなくなった。そんなつもりはなかった筈なのに、自分は彼のことをを友達と思っていないのではと、不安になった。
結局、全て彼に打ち明けた。うまく言葉にできていたかわからないが、言いたいことは伝わったような気がした。彼に対する謝罪と、不安。自分が他人との距離を掴めないということ。
それを聞いた彼は、唯々、微笑を浮かべた。この反応は予想していなかったので、少年は驚いた。
「いいんじゃないか、それで」
彼は笑みを浮かべたまま、そう言った。それはただ単に自分に同調したのではなく、彼なりの考えを持って言っているように思えた。
「俺なりの考えなんだけど」彼は前置きにそう言う。「主役は自分、他は登場人物っていうのは、誰の人
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