第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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兄ちゃん」
ヒトミは息を飲んで見つめていた。確かに、強いとは思ったし直感もした。でも、ここまでとは思っていなかったのだ。あれだけの数を相手にかすり傷ひとつつけてないのだから。
「私のもうひとつの力……、お兄ちゃんには必要ないかな? あ、でも そう言うわけでも無いかな! よーし……」
ヒトミはユーリの方を見て、拝むように手を組んだ。
「お兄ちゃん……がんばって……」
願うように、そう言うヒトミ。
――……願いはきっと届く、無駄にならないから。今日だって、助けてと願って、助けてくれたんだから。
「おっと!」
ユーリは、オッズの2体を煉獄の力で薙ぎ払ったが、巨体故にアカメにまで攻撃が届かなかった。
「焦げカスにしてあげましょう。炎の嵐!」
即座にアカメが魔法を放ってくる。
先ほどの炎の矢より強力な魔法であり、更に今の自分は技後硬直となってしまっている為、回避が出来ない。
「ん、気合で乗り切るか……ッ!!」
何度か過去に魔法を無力化した事はあるが、それは防御の体制をとっていた時の話だ。不意を突かれるタイミングでの攻撃は流石に無理なのである。炎の嵐がユーリに迫ってくるその時だった。
突然、天井にヒビが入ったと思えば、ユーリとアカメの間、丁度炎の嵐の軌道上に崩れた天井の一部が、ごしゃあっ と音を立てて落ちてきたのだ。
それで、魔法攻撃を遮る壁となった。
「よし。運が良かったな。居合!」
「ぎゃっぁ………まいり……ました……」
アカメはそう言いながら、完全に絶命していた。敵を一掃できたユーリは剣を鞘へと仕舞って戻ってくる。
「お待たせ、さあ行こう」
「うんっ! お兄ちゃん凄いっ! とっても強いんだ!」
「まぁ 多少は経験をしてきているからな」
「あははっ!」
ヒトミは腕にしがみ付いた。
その姿は兄妹と言うより、親子に見えてくる。ヒトミの身体はそれだけ小さく幼い感じがするからだ。若旦那と言った所だろうか、……容姿的にも。
「っ……」
「お兄ちゃん? どうしたの?」
「あー、いや、なんでもないよ。気にするな」
ユーリは頭をブンブンと振りながらスタンプ台の方へと向かった。相変わらず、《声》を聞き取る事が出来る人なのである。
そして、その後スタンプ台の前に立ち、踏破完了の証のスタンプを押そうとしたその時だった。
「見つけたぜ!! 幸福きゃんきゃん!!」
「きゃあっ!!」
「なんだ……??」
突然、通路の方で男の声が聞こえてきた。どうやら、先ほど撒いた連中の様だ。だが……疑問に思うところもある。
「認識逸らしをしていなかったのか? ヒトミ」
「い、いや……普通にしててもある程度
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