第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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け、無双をしている時だった。
「はぁ……はぁ……っ な、なんで、私、私、こんな目に……あうの……っ」
息を切らせながら 只管通路を走る姿がそこにあった。その姿を追いかけるのは複数の人影。
「追いかけろ!! ひゃっはー! オレ達はついてるぜぇぇ!!」
「まさかこんな所で、アイツに合えるとは思ってもいなかったなぁ!!」
目を血走らせながら走る複数の人影。
身なりから考えたら冒険者だろう。レンジャー・ガンナー・ファイター……回復役のヒーラーがいないが、それなりにパーティメンバーとしては、揃っているようだ。
「喰らえ!!」
ガンナーが、弓矢を撃ち飛ばした。走りながらだった為、比較的狙いやすい、その胴体を狙う。
「ぁっ!!」
矢が飛んでくるのが判った、感じ、横っ飛びでその矢を避け、迷宮の横道に、何とか免れる事が出来た様だ。
「ちっ……避けやがったか」
「しかし、本当にアイツ、なのか?」
「姿を見たら判るだろ! 間違いねえって。んでもってやっちまえば大幅レベルアップだ!」
「……だが、きゃんきゃんはこんなに逃げたりしなかったんじゃないか?」
「ま、普通のきゃんきゃんなら見逃すんだが、あいつは見逃したら流石に勿体無いだろ!」
そう言いながら逃げた横道に入っていった。
彼らが追いかけているのは、《幸福きゃんきゃん》
きゃんきゃんの上位種であり、出会うものを全て幸福にすると言われている。そう、彼女達を狩れば幸福……ではなく、異常なくらい経験値が入るのだ。レベルによるが、桁違いの経験値である為下手をしたら2〜3程上がるのだ。そして、そのきゃんきゃんの戦闘力は皆無であり、全く危険も無い。
「っ……!! い、痛ッ……」
逃げたところで、痛めた脚のせいでバランスを崩して倒れてしまっていた。何より、ここから先はもう逃げ場は無い袋小路だった。
「わ、私が、何を……何をしたの……? 何も、わるいこと、してないのに……」
自然に涙が目に溢れてしまった。流石の冒険者の男達も驚いている。何故なら、きゃんきゃんが泣いている姿は見たことないからだ。彼女達は基本的に誰とでも友達になりたいと誘惑している。
攻撃をされたとしても、必死に誘惑してくる程だった。
なのに彼女は涙を流している。だけど、その程度で止まる筈もなかった。
「こ、んな所で……死ぬの? 死んじゃうの……?」
死を意識しだし、今度は身体中が震えてしまう。
「よーし! 追い詰めたぞ! オレの経験値!」
「覚悟しろよ〜〜!!」
「はは、イタズラしちゃおうぜ!」
じりじりと迫ってくる男冒険者達。その目は欲望のままに生きている者の目だ。かつて、人間だった時に何度も見てきているんだ
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