フォルツの実力
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強くして垂直跳びをして真上に逃げたのだ。
「…消えろよ。」
そして無防備なグールの上から斬撃を叩き込んだ。
崩れ落ち、浄化されるグールを冷めた目で見る。するとニナが心配そうに。
「何を見てるんだい?」
「グールの末路。」
「…そんなの見て楽しいかい?」
「…全然。」
俺の答えにニナは黙って炎帝の城館に目線を変える。
「早く行こう。フォルツ。炎帝の館はもうすぐそこだよ?」
「ああ。」
俺は夢幻剣を消すと前方の暗い雰囲気を放つ館へと足を進めた。
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炎帝の城館の前に着くと庭に捨てられているドラム缶の後ろに隠れているアリスの姿があった。
「ああ。良いところに来ましたね。フォルツ。」
アリスはそう言って俺の方を向き、そして再び前を向く。
その目線の先にいたのは2メートルはあるだろうか?巨大な真っ赤な甲冑が置かれていた。あれは…。
「魔鎧『ストロボ』か。」
魔鎧『ストロボ』。鎧に膨大な魔力を入れることで起動する。よく門番に使用され、その力は普通の人間10倍の怪力、さらに敵、味方を冷静に判断する思考を持ち合わせている。
だがこれはどうやらプロトタイプの様だ。俺のうるさいおせっかいな知り合いが見せてくれた文献の絵にあったプロトタイプのストロボと瓜二つだった。
それでも思考はそのままに、怪力は3倍ほどある。
アリスはそれを見てため息を一つ吐く。
「あんなのが門番とは…。
ストロボではまともに戦っても勝ち目は薄いと思います。ここは違う浸入ルートを探して行くべきですね。」
「断る。」
俺はそう言ってアリスの提案を切り捨てる。そして驚くアリスを鼻で笑う。
「言っただろ?『あんな雑魚は切り刻む。』と。」
俺の言った言葉の意味が分かったのかアリスは顔を真っ青にして俺を見てつぶやく。
「ま、まさか…。」
「じゃあな。」
そう言ってフォルツは魔鎧『ストロボ』の方に向かって飛び出して言った。
「さっすが!フォルツは本当に突っ走る事しか知らないね。」
するといつの間にかにフォルツの使い魔ニナがアリスの目の前に座っていた。
「…なんなんですか。あの人は。」
「ん?フォルツの事?フォルツはね。生き急いでるんだよ。」
ニナはそう言ってアリスをみる。それはまるで愚者に向かって向ける哀れみの目。だけどその中に悲しそうな雰囲気も含まれていた。
「しかも自分が生き急いでる事に気付いてあえて割り切ってる。
…自分の存在意義がもう復讐しかないからね。それも相手はこの世の支配者だ。」
「…え?」
「さて、お話は終わりだ。ちょっと相手が悪いからね。フォルツのサポートをしないと。」
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