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第一章
雪の結晶
冬のある日のこと。仁美はお母さんにこう言われました。
「ねえ、お外に出てみない?」
「お外に?」
「そう、今からね」
お母さんはにこりと笑ってそのうえで仁美に言うのでした。
「お母さんと二人でね」
「けれど。お外雪が降ってるよ」
仁美は窓の外を見てお母さんに言います。見れば窓の外は真っ白になろうとしています。上から白い雪が一杯降ってです。お家もお庭も木もです。皆白くしていっているのです。
それで、です。仁美はお母さんに言いました。
「こんな時に出てもいいの?寒いよ」
「寒くてもいいのよ」
「何で?寒いのに?」
「雪の本当の姿をね。仁美ちゃんに見て欲しいの」
「雪の本当の姿を?」
「そう。だからね」
二人で雪が降っているお外に出ようというのです。
「そうしたいの。いいかしら」
「変なお母さん」
そんなお母さんの言葉を聞いてです。仁美はつい首を傾げさせてです。そして言うのでした。
「寒いのに。お外に出て雪の本当の姿って」
「出ればわかるわよ」
「それで雪の本当の姿を見れば?」
「そう。だから少しだけね」
出ようとお話をしてなのでした。そのうえで。
仁美はお母さんに連れられてお家の玄関を開けてです。そのうえで。
今も一杯降っている雪を見上げます。雪は真っ白になってしまっているお空からどんどん降ってきます。そして仁美のお顔にも触れてきたのです。
その雪の感触をお顔で受けてです。仁美は言ってしまいました。
「やっぱり冷たいよ。私冷たいの嫌い」
「そうよね。仁美ちゃん冷たいの嫌いよね」
「お母さんそのこと知ってるのにどうしてなの?」
雪は積っていきます。もうお家のお庭は何処もかしこも雪に覆われています。それはまるで白い絨毯に覆われたみたいです。その真っ白い世界が今仁美が見ているものでした。
その真っ白い中でただ一人だけ色があるお母さんにです。仁美は尋ねたのでした。
「お外に出たいって」
「これ見て」
その仁美にです。お母さんは。
掌を開けてその中にあるものを見せてきたのです。それは。
とても小さな。それでもきらきらと輝いています。お母さんがよく仁美に見せてくれる切り絵みたいに難しい模様で左右対称になっています。その奇麗なものを見てです。
仁美は目を丸くさせてです。お母さんに尋ねたのです。
「これ何?」
「雪よ」
お母さんはにこりと笑ってこう仁美に答えました。
「これがね」
「嘘、雪ってただ白いだけでこんなに奇麗じゃないよ」
仁美はお母さんのその言葉を信じようとしませんでした。ですが。
お母さんはその仁美にです。今度はこう言ったのでした。
「じゃあ仁美ちゃんが雪を一つ取っ
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